国際貿易のコスト管理や物流コストの削減に注力している企業も多いのではないでしょうか。その中でもデマレージは、物流コストの削減や経営力の強化において非常に重要な観点で、貿易に関わる多くの人々にとって大きな課題の一つとなっています。
この記事では、デマレージの定義、関連する貿易用語、デマレージの負担者、計算方法、およびデマレージの回避方法について説明します。
デマレージとは、船会社と荷主(またはその代理人)との間で合意したコンテナヤードでの無料保管期間(フリータイム)を超過した場合に、荷主が船会社に支払わなければならない超過保管料です。
デマレージとディテンションは、それぞれ異なる状況で適用されます。
以下、デマレージとディテンションの違いについて説明します。
デマレージとは、船会社と荷主(またはその代理人)との間で合意したコンテナヤードでの無料保管期間(フリータイム)を超過した場合に、荷主が船会社に支払わなければならない超過保管料です。別名、「超過保管料」とも呼ばれます。
デマレージは「フリータイムを超えて、コンテナヤードにコンテナが引き取られずに保管されている場合に発生する」
ディテンションは、荷主が船会社との間で合意したコンテナ返却の無料期間(フリータイム)を超過した場合に、荷主が船会社に支払わなければならない超過コンテナ使用料です。
ディテンションとは「フリータイムを超えて、コンテナが返却されない時に発生する」
両者は似ているため、混同されることがありますが、発生する状況や対象が異なることを理解することが重要です。
通常、フリータイムは、「フリーデマレージが:14日間、フリーディテンション:7日間」など区別して設定されることが多いです。
しかし、船会社によっては、フリータイムをデマレージとディテンションで区別せず「合わせて21日間」のように同一期間として設定している船会社もあります。事前に船会社としっかりと条件をすり合わせることが重要です。
フリータイムは、港にコンテナを無料で留めておける期間のことです。フリータイムの期間を利用して、荷主は通関手続きを行い貨物をコンテナヤードから搬出します
荷主にとって、フリータイムは各船会社でタリフが決められていますが、船会社によっては交渉し延長することも可能です。
例えば通常よりも通関作業に時間を要する貨物や、最終納品先の状況によりすぐに貨物が引き取れない場合などは、フリータイムを活用しデマレージを回避できます。
荷主はフリータイムを利用して、下記のような対応をすることができます。
デマレージは誰が負担するのか、デマレージがどのように計算されるのかを解説します。
デマレージの請求先は基本的にConsigneeです。これはデマレージが揚港で発生する港湾費用の一つであるためです。
ただし、契約条件や事情によっては、デマレージの負担が他の関係者にも及ぶことがあります。
デマレージの計算方法は、船会社と荷主が締結する契約によって定められます。通常、デマレージ料金は1日あたりの保管日数に対して固定された金額が適用されます。計算方法の例としては、次のようなものがあります。
デマレージ料金 = 遅延日数 × 1日あたりの料金
例えば、デイレートが$3,000で、遅延が3日間発生した場合、デマレージ料金は$9,000となります。デイレートは日数によって段階的に上がっていくのが一般的です。
計算方法やフリータイムの設定期間は各船社によって異なります。
参考として、ONEジャパンは以下の通りにデマレージの料金を設定しています。一例としてご参照ください。
DEMURRAGE |
||||
Container Type |
フリータイム (各岸日の翌日より起算) |
F/T超過後/Day (土日・祝祭日含む) |
20' | 40' |
DRY VAN/Tank Reefer as Dry |
6営業日
|
1-4 |
¥4,000 ¥5,000 |
¥6,000 ¥7,500 |
5-9 | ¥12,000 | ¥18,000 | ||
Therreafter |
¥20,000 | ¥30,000 | ||
Reefer Container Special Container |
4営業日 (土日・祝祭日はカウントから除く)
|
1-4 | ¥8,000 ¥11,000 |
¥12,000 ¥16,500 |
5-9 |
¥24,000 | ¥36,000 | ||
Therreafter | ¥40,000 | ¥60,000 |
ONEジャパンHPよりShippio作成
デマレージはコスト管理や経営の観点から、なるべく回避することが望ましいです。以下、デマレージを回避するための2つの方法について、ご提案します。
デマレージによる追加コストを最小限に抑え、スムーズな貿易を実現しましょう。
船社との契約の条件や適用されるデマレージ料金が、自社のビジネスモデルやリスク許容度に適合していることを確認します。適正な契約を結ぶために、複数の船社に条件確認や相見積もりを取るのも良いでしょう。
また、フリータイムの延長交渉は船積み後は基本的にできません。運賃取り決めの際や、船会社にとってはブッキング時など、前広に交渉をしましょう。
輸出入や貿易に関する可視化システムを導入するのも、デマレージを回避するための有効な施策です。可視化を実現することで、船の遅延やそれに伴うフリータイム内での納期調整に素早く、前広に対することが可能になります。
Shippioのクラウドサービスは、本船動静情報の自動確認が可能になります。ビジュアル的に業務の進捗状況や危険性が可視化できるため、船の遅延や通関の不備による納品遅れに影響するトラブルを事前に察知しやすくなります。
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デマレージは、国際貿易において重要な概念であり、貿易関係者にとって適切な理解と対策が必要です。デマレージの定義、負担者、計算方法、そして回避する方法を把握することで、追加コストを最小限に抑え、スムーズな貿易を実現することができます。
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