貨物を輸出する際には、輸送中での紛失や破損というリスクを考える必要があります。
このリスクを最小限に抑えるために重要なのが、梱包です。
梱包と一口に言っても様々な種類があり、貨物の性質や予算によって最適な梱包形態は異なってきます。
この記事では、輸出梱包の定義、輸出梱包の種類、輸出梱包の手配の仕方について、国際物流プラットフォームサービスを提供するShippioがご紹介します。
輸出する際には、基本的に貨物をそのまま積み込むことができません。何らかの梱包をした上で、コンテナや飛行機の貨物室に搬入することになります。国際輸送の場合は、国内の宅急便とは違い、輸送が長距離に渡ったり、積替えの回数が増えたりするので、丁寧でルールに則った梱包が必要になります。
航空輸送では荷姿の軽量化が求められる傾向がありますが、海上輸送の際には丁寧でルールに則った梱包が求められます。
一つのコンテナに他の荷主の貨物と混載するLCL輸送では、個々の貨物の保護や積み上げの必要性から、きちんと梱包がされていないとコンテナフレートステーション(荷捌き場)で荷受けを受け付けてくれません。
また、木材梱包材を用いる場合には、梱包材も輸入国の植物検疫措置の対象となるので注意が必要です。
海外からの病害虫が木材に付着して国内に侵入する恐れがあるためです。多くの国が、木材梱包材に関する国際基準ISPM no.15「国際貿易における木材こん包材の規則」を採択しており、この基準をクリアしている梱包材を用いる必要があります。具体的には、熱処理または臭化メチル燻蒸処理を行った上で、消毒済みの証として承認マークが付されている必要があります。
梱包の種類を8つご紹介します。
合板で六面を囲み、密閉された木箱のように梱包する方法です。機械や金属類などの重量物から、雑貨などのカートン物まで、貨物の大きさや重さを問わず幅広く用いられています。密閉されているため防水や防湿にすぐれ、圧力や衝撃による貨物の損傷を防ぐことができます。また、輸送中に脱落の恐れがある小物類にも有効な梱包です。木材なので、上述のように消毒済みの承認マークが付された材を使って梱包する必要があります。
梱包する貨物の例としては、精密機械や設備機器、バルブ、ナットなどがあります。
木を格子状に組み合わせ、隙間が開いた木箱のように梱包する方法。外装から中身を確認できるため、在庫管理や税関検査の際に便利です。防水などが必要なく、局部的な保護で十分な場合に多く用いられます。ケース梱包同様、様々な貨物の梱包に幅広く採用されています。
スチールによって、密閉木箱状に梱包する方法。木箱と比べて、容積を小さくできるので輸送効率を上げることができます。一方で、溶接して作るため、木箱と比べて一度作ってしまうと微調整は難しくなります。透明で中身を外から確認することが出来る透かし箱もあります。
大型貨物や重量物を搭載するSS-BOXと、比較的軽いものを搭載するSS-Containerがあります。
○バンドル梱包
貨物同士を、バンドルを用いて結束させる梱包方法です。貨物が堅牢で衝撃による破損の恐れが小さい場合に用いられます。主に細長い貨物を運ぶ際に採用されており、例えば鋼管やパイプ、鉄骨などです。
貨物が入った箱を複数固めてパレットに組み付ける梱包方法です。人力で荷役可能な小さめの貨物に用いられることが多いです。パレットの種類は様々あり、木材は熱処理が必要な一方で、プラスチック製パレットはサイズが少なく、スチール製パレットは高価です。軽量貨物の輸送の際には一般的な梱包方法です。
パレットを土台として、スキッドで簡単に梱包しただけのものです。貨物が堅牢で衝撃による破損の危険が小さい場合や、防水の必要性が低い場合、貨物そのままでは荷役が不便な場合に多く用いられます。
側面や天井がないため、コンテナ内での段積みはできません。そのため、LCLの場合は船会社から請求される運賃が高めになることがあります。CFSでのデバンニング後の破損も起きやすくなるので、LCLの際には採用を避けたほうが無難かもしれません。
梱包する貨物の例としては、フレームや、大型ロールなどがあります。
パレット梱包よりも強固な梱包が必要な場合に用いられることが多いです。パレットを基礎にして、強化ダンボールで側面、天井を覆う形になります。軽量なので作業性が良く、到着後の開梱も容易です。ただ、強化とはいえダンボールですので、水濡れには注意が必要です。
海上輸送は、気温差が大きく、また高い湿度にさらされやすいため、金属製品などを湿気や錆から守りたい時には防湿バリアがけを施すことがあります。バリア材で貨物を覆い、空気を抜いて内部の水分を排出します。
アルミを蒸着したメタルバリアや、内部にケイ素など湿度調整する粉末を塗布した透明バリアなど、幾つか種類がありますが、透明バリアであれば税関検査でバリアを剥がさなくても中身を確認することができます。
次に輸出梱包の手配方法について、実際の輸出の流れに沿ってご紹介します。
FCLでは、工場バン(輸出者の工場または倉庫へ空のコンテナをドレージで運び込み、その場でバンニングしてCYまで運ぶ流れ)の場合には、輸出者自身で梱包を行う必要があります。一方、一度トラックで貨物をフォワーダーの倉庫に運び込み、そこでバンニングしてからCYへ運ぶ流れの場合には、フォワーダー倉庫にて梱包を行ってもらうことができます。
LCLでも同様に、CFS直搬(輸出社の拠点からCFSへ直接運び込む流れ)の場合には、輸出者側で梱包を完了させておく必要があります。一方、CFS外貨搬入(一度フォワーダーの倉庫に運び込んでからCFSへ運ぶ流れ)の場合には、フォワーダーの倉庫で梱包やシッピングマークの刷り込みなどをしてもらうことができます。
梱包の扱いによって、直接港に運び込むべきか、フォワーダーの倉庫を経由するべきかが変わってくるので、迷ったときにはその点も含めてフォワーダーに相談して頂けると安心です。
輸出の際の梱包についてご紹介しました。輸出は、国内輸送と比べて輸送距離が長く、破損のリスクなども高くなるため、貨物に合わせて適切な梱包を施すことが重要となります。
また、海上輸送を考える際には、梱包だけでなく、貨物に最適なコンテナを選ぶことも重要です。お気軽にShippioにご相談ください!