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航空輸送の流れを解説!仕立て日ってなに?

作成者: Shippio|2019.04.10

航空輸送は、海上輸送に比べて圧倒的に速い運送スピードが魅力です。現在では、飛行機を利用すれば、世界中ほぼどこへでも数日以内に貨物を届けることが可能です。

この記事では「航空輸送とは何か?」に加え、その流れやルール、費用についても網羅的に解説します。

私たちShippioは、国際輸送を手配するデジタルフォワーダーです。輸送に関して気になる点ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせや資料請求をお寄せください。

 

 

 

‍航空輸送の基礎知識


航空輸送の流れを解説する前に、まずは航空輸送に関する主要なプレイヤーや、基本的な用語についてご紹介します。これにより、航空輸送のプロセスをより理解しやすくなるでしょう。

航空輸送のプレイヤー


航空輸送における基本的なプレイヤーも、海上輸送と同様に以下の3者が中心となります。

  1. 荷主(Shipper)

    貨物を輸送したい企業や個人のことを指します。


    2.航空会社(Carrier)

    実際に輸送手段を提供し、貨物を移動させる運送人を指します。例として、ANA(全日本空輸)などが航空便を運行しています。


    3.フォワーダー(Forwarder)

    フォワーダーは、荷主から依頼を受けて貨物の輸送を手配する業者のことです。通常、フォワーダーに依頼することで輸送だけでなく、通関手続きも委託または手配が可能になります。Shippioもフォワーダーとして、輸送手配や通関サポートなど幅広いサービスを提供しています。

    フォワーダーの中には、特定の役割を担う「混載業者(Consolidator)」と呼ばれる運送業者も存在します。混載業者は自ら航空機を保有せず、航空会社から貨物スペースを借りて独自の貨物輸送サービスを行います。現代の航空貨物輸送では、混載業者が複数の荷主から貨物を集め、大口貨物としてまとめ、荷送人として航空会社と契約を結び、実際の輸送は航空会社に委託する方法が一般的です。

    航空貨物の運賃は「重量逓減制」に基づき、貨物の重量が増えるほど単価が下がる仕組みとなっています。このため、複数の荷主の小口貨物を一括でまとめて輸送する混載業者の利用が増え、各荷主にとってもコスト削減につながる輸送方法となっています。

航空輸送において頻出する必須用語

  • ULD(Unit Load Device、ユニットロードデバイス)

    パレットやコンテナなど、航空機に貨物を積載するための専用の搭載用具を指します。航空輸送時には通常、貨物をULDの形にまとめて搭載します。これにより、貨物の形状や規格が統一され、荷役作業が効率化されます。


    ・ビルドアップ(Build up)

    貨物をULDに組み付ける作業で、航空機への積み込み前に行われます。


    ・ブレイクダウン(Break down)

    ULDを解体し、貨物を取り出したり、パレットから外したりする作業で、航空機から荷降ろしした後に行います。


    ・AWB(Air Waybill、 航空運送状)

    航空貨物の輸送契約書としての役割を持つ書類で、貨物の内容や送り先などの情報が記載されています。「マスター・エア・ウェイビル」と「ハウス・エア・ウェイビル」に分類されます。


    ・MAWB (Master Air Waybill、マスター・エア・ウェイビル)

    航空会社が発行する航空運送状で、混載業者に対して発行されます。貨物全体の輸送契約を示します。


    ・HAWB (House Air Waybill、ハウス・エア・ウェイビル)

    フォワーダーや混載業者が荷主に対して発行する航空運送状で、個々の貨物の詳細を記載しています。


    ・ETA/ETD (Estimated Time of Arrival/Departure)

    到着予定時刻および出発予定時刻を示し、輸送スケジュールを確認する際に使用されます。 

航空輸送の流れ

輸出時における航空輸送の流れ

  1. 輸出者の貨物をフォワーダーの倉庫へ搬入

    まず、空港近くにあるフォワーダーの倉庫に輸出者の貨物を運び込みます。


    2.フォワーダーによる梱包と輸出申告

    フォワーダーは必要に応じて貨物の梱包を行い、その後、輸出申告手続きを進めます。


    3.輸出許可と混載目録の作成

    税関から輸出許可が下りると、フォワーダーは仕向地が同じ貨物をまとめて混載貨物とし、混載目録を作成します。


    4.ULDへのビルドアップと上屋への搬入

    フォワーダーは混載貨物をULDにビルドアップし、航空会社の上屋(保管施設)に搬入します。この搬入日を一般的に「仕立て日」と呼びます。


    5.航空輸送の実施

    航空会社は貨物を航空機に搭載し、目的地へ向けて航空輸送を行います。

輸入時における航空輸送の流れ

  1. 航空機の到着と貨物の降ろし作業

    航空機が到着すると、航空会社は貨物をULDの状態で航空機から降ろします。


    2.保税蔵置場への運び込みとブレイクダウン

    ULDを空港内の保税蔵置場に運び込み、ここでULDをブレイクダウンして貨物を取り出します。


    3.輸入上屋への搬入と貨物確認

    ブレイクダウンされた貨物は輸入上屋へ運ばれ、フォワーダーが混載貨物と照合しながら個々の貨物を確認します。


    4.輸入申告と配送

    フォワーダーが輸入申告手続きを行い、税関から輸入許可が下りると、貨物は輸入者が指定する場所へ配送されます。

‍航空輸送にまつわるルールや費用

航空機に搭載可能な重量とサイズ

航空輸送には、「旅客機を利用するもの」と「貨物機を利用するもの」の2種類があります。旅客機で貨物を運ぶ場合は、下部貨物室(ベリー)を使用します。特に旅客が少ない夜間に運行されることが多く、高さが150cmを超える大型貨物は搭載ができないことがあります。また、危険物の輸送制限は貨物機に比べて旅客機の方が厳しい傾向があります。

‍一方、貨物機では、旅客機の客席部分を取り除き、上部を貨物スペースにした上部貨物室と、旅客機と同じ下部貨物室(ベリー)の両方を活用できます。上部貨物室には2.6m~3mの大きなドアが備わっているため、より大型の貨物も搭載が可能です。

搭載可能な重量は機材によって異なりますが、目安として下部貨物室で1500~1800kg、上部貨物室で2000~3000kg程度となっています。ただし、重量が基準内でも、ULDからはみ出す形状や、機体の天井や側面の湾曲に合わない貨物は搭載できないか、制限を受ける可能性があります。

‍また、近年の旅客需要に対応するために航空機材が中・小型化する傾向にあり、仕向地によっては1機あたりの貨物積載量が減少することもあります。大量の貨物を輸送する際には、事前の確認が重要で、フォワーダーに早めに相談しておくと安心です。

 

 

 

‍航空輸送において発生する費用

輸出の場合

  • 輸出通関料

フォワーダーによる通関手続きにかかる費用です。2017年10月までは、通関業務に対する料金の最高額は、一般社団法人日本通関業連合会によって定められていましたが、現在ではこの規程は廃止され、各通関業者(フォワーダー)が自由に通関料を設定できるようになっています。


  • 輸出取扱料

フォワーダーに支払う、輸出手配などの輸送手続きに対する手数料です。各フォワーダーの裁量で料金が設定されます。


  • 保管料

空港の上屋(保税蔵置場)での貨物の一時保管にかかる費用で、空港使用料に近いイメージです。


  • 航空運賃

航空会社に支払う運賃で、輸送区間と貨物のサイズに基づいて決まります。貨物の重量が適用されるのは、実重量と容積重量の大きい方です。実重量は単純な貨物の重さですが、容積重量は「容積重量 = 貨物の容積(m3)×貨物の個数/6000」で計算されます。


  • 燃油サーチャージ

燃料代に応じて変動する料金で、時期ごとに石油価格が変動するため、航空運賃に加算されます。


  • AWB fee

Air Way Bill(航空運送状)の発行手数料で、航空会社またはフォワーダーに対して支払う数百円程度の料金です。


  • 爆発物検査料

航空会社またはフォワーダーによる爆発物検査にかかる料金です。航空輸送では、ほぼ全ての貨物に対して、爆発物が含まれていないかの検査が義務付けられています。基本料に加え、貨物点数に応じた作業料が課金され、合計で数千円程度が一般的です。


  • 税関検査立会料/内容点検料 (発生時のみ)

税関検査が発生した場合にかかるフォワーダーの立会料および内容点検料です。検査の有無は貨物の種類や輸出者の実績、仕向地などにより異なり、輸出実績が少ない場合には検査が行われる可能性が高くなります。

輸入の場合

  • 輸入通関料

輸出通関料と同様に、フォワーダーの通関業務に対して支払う料金です。通常、輸入通関は手間がかかるため、通関料は輸出よりも高くなる傾向があります。


  • 輸入取扱料

輸出取扱料と同様に、輸入にかかるフォワーダー業務に対して支払う料金です。


  • 保管料

空港での一時保管に対する料金で、輸出時の空港使用料と同様の扱いです。


  • 関税/消費税/地方消費税

関税や消費税、地方消費税などの税金が実費で発生します。FTA/EPAにより関税が撤廃されている品目や国でも、消費税は必ずかかるため注意が必要です。


  • 時間外作業料(発生時のみ)

空港での貨物搬出作業が所定時間外に行われた場合にかかる料金です。航空便の到着が深夜などになる際には、時間外作業料の発生に注意が必要です。


  • 税関検査立会料/税関検査特別取扱料/交通費/内容点検作業料 (発生時のみ)

税関検査が発生した場合にかかる費用で、輸出時と同様にフォワーダーが検査に立ち会う料金、特別取扱料金、検査場までの交通費、内容点検にかかる作業料が発生します。輸入時の税関検査は輸出よりも厳しく、特に輸入実績の少ない輸入者は検査対象となることが多いです。

まとめ

この記事では、航空輸送について詳しくご紹介しました。高額なイメージが先行しがちな航空輸送ですが、貨物の条件によっては海上輸送とそれほどコスト差がないケースもあります。

「海上輸送と航空輸送、どちらで運ぶべきか?」や、「料金や日程の具体的な違いは?」といった疑問がございましたら、ぜひお気軽にShippioにご相談ください。

輸送に関して気になる点がございましたら、お問い合わせや資料請求もお待ちしております。