レポート | Shippio | 貿易業務の可視化・効率化クラウドサービス

サプライチェーンの可視化で実現するデマレージリスクの最小化

作成者: Shippio|2023.06.09

様々な分野で「DX」や「イノベーション」の必要性が求められる現在、貿易業務DXも例外ではありません。どのような変革がサプライチェーン・マネジメントに役立つのか、どんな施策が貿易業務の省力化となるのか。

それを追及すべく、株式会社Shippioは「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ2016年に設立しました。クラウドサービスとフォワーディングを併せて提供する、日本初のデジタルフォワーダーです。

本記事では貿易業務の課題と、Shippioのソリューション展開、「貿易実務の効率化」と「国際物流の可視化」の効果について、コンサルティングセールスの川嶋に話を聞きました。

 

Profile

川嶋 章義/コンサルティングセールス
総合物流会社の配送センターでの現場管理・提案営業、大手電機メーカーでの物流企画を経験した後、2020年にShippio関西支社立ち上げメンバーとして参画。
数多くの顧客にShippioを導入し、顧客課題の解決、業務の効率化・標準化を成功させた実績がある。
ShippioのMissionである「理想の物流体験を社会に実装する」ために日々奮闘中。

 

 

 

サプライチェーン管理によるデマレージ対策

ー コンサルティングセールスとありますが、営業との違いは何ですか?


コンサルティングセールスと従来の営業の違いは、ゴールの捉え方にあります。
従来の営業は、自社商材の販売や成約がゴールになりますが、コンサルティングセールスの場合の自社商材の販売や成約はあくまで手段であり、その先にある荷主様の課題解決がゴールとなります。

物流業界の専門知識を広く豊富に持っていることはもちろんですが、大切にしているのは、荷主様とお話しをする中から、荷主様自身も気が付いていない課題と潜在ニーズを明確化することです。
本質的な課題と潜在ニーズに対し、適切かつきめ細かく対応し、解決策の提案をします。

 

ー 荷主様と話す中で、最近感じた課題や潜在ニーズは何がありましたか?


2024年問題は、どの荷主様も気にかけている課題です。今後、国内輸送費の高騰は避けられないと考えられています。物流費用を、いかにコスト削減できるかに注目が集まっています。

また、海上運賃は市場に影響されるので、アンコトローラブルな部分です。となれば、自分たちでコントロールできるコスト削減を探している荷主様が多い印象です。

荷主様のヒアリングを重ねて気が付いたことは、海上運賃やドレージ費用は厳しく管理しているにも関わらず、デマレージについては厳格に管理できていない荷主様が多いことです。

 

ー デマレージとは、何ですか?


デマレージ(demurrage)とは、コンテナの延滞費用のことです。
つまり、コンテナヤードのフリータイム(無料保管期間)を超過した場合に支払う、超過保管料のことを言います。

ー なぜ、デマレージが発生するのでしょうか?

 

入港したコンテナを、フリータイム期間内にコンテナヤードから引き取れないからです。コンテナヤードから引き取れないケースは、大きく3つあります。

 

  1. 本船動静の確認が遅れ、入港直前にならないとドレージ手配(※1)ができない
  2. 入港遅延でドレージの再手配が必要になっていた
  3. 倉庫に空きがなく引き取ることができない

 

そのいずれも、サプライチェーンの可視化ができていれば、デマレージ発生のリスクを低減できると考えています。

 

※1 コンテナを陸上輸送すること

調達物流の可視化で可能となるドレージ手配の適正化

ー サプライチェーンの管理には何が必要ですか?


サプライチェーンとは製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費に至るまでの一連の流れのことです。サプライチェーン・マネジメントの効率性をあげるために、システムを導入して管理している企業が増えています。特に、受発注管理や生産管理はシステム導入がしやすく、モノが倉庫に入庫した後もWMS(在庫管理システム)で管理している印象が強いです。

しかし、生産から倉庫入庫間の調達物流管理には、システム未導入のまま可視化できていない企業が大半を占めています。

ドレージ手配が遅れる理由に、初動が遅れていることが挙げられます。
調達物流が可視化されていれば、タイムリーな動静情報を得ることができ、素早く柔軟なドレージ手配が可能となります。

 

 


ー Shippioの本船動静機能について教えてください

 

Shippioの本船動静トラッキングサービスは、船会社サイト等を含む複数のデータソースの情報を元に、当社独自のロジックにより正しい日付(ETD、ETA)や洋上にある本船位置などを自動で算出する仕組みになっています。

各データソースからのデータの取得は、1日2回。システムによる自動取得と、マニュアルでの手入力の組み合わせとなっているため、高い精度の自動トラッキングを実現しています。また、船会社から自動で日付・本船ステータスを取得できない場合でも、Shippioは自動トラッキングすることが可能です。

表示はシップメントごとです。視覚的にシップメントの進捗や本船動静をタイムリーに把握するため、遅延状況を色別で表示しています。

 

貿易実務担当者さまは、貨物が輸送され始めてからドレージ手配をしている方が多いと思います。しかし、アジア航路だと2〜3日ほどで日本に到着するため、ドレージ手配が間に合わない場合があります。

Shippioを使えば、集荷した段階・荷積みした段階と、事前に入港日をクラウドサービス上で把握することが可能となり、より早いタイミングでドレージ手配が可能となります。

貿易条件により、クラウドサービス上で管理できる範囲が異なります。より早く手配準備をするには、仕入先出荷から国内配送までのサプライチェーン全体を可視化する必要があります。貿易条件を見直すことで、効率的な調達物流管理が実現します。

 

 

効率的な遅延対応とストレスフリーな納品日時調整

遅延情報も、タイムリーに把握が可能です。
遅延が発生すると、ダッシュボードにアラートとして遅延情報が表示されます。同時に登録しているメールアドレス宛にも遅延情報が送付されるので、見落としがありません。

 

 

アラートをクリックすると、該当シップメント画面へ飛び、遅延日数を確認することが可能です。

 

 

遅延後の入港日が即時確認できるので、ドレージの再手配も遅滞なく行えます。
またメールを開かずとも、同画面上のチャットで、オペレーターとコミュニケーションが取れることも利点です。

さらにShippioには、荷主・納品先倉庫(外部倉庫)・オペレーターの3者で会話ができる3者間チャット機能もございます。これにより貿易実務担当者さまをハブとしたメールの伝言ゲームから脱却することができます。同じチャット画面上で、3者同時にコミュニケーションが取れるので、納品日時の調整をストレスなく、かつスムーズに行うことが可能となります。(※2)
事前に情報共有ができるので、納品先倉庫会社もスムーズに荷受け準備ができるというメリットもあります。

※2 3者間チャット機能を利用するには、特定の条件がございます

 

 

このように全ての案件を、ひとつのプラットフォームで、遅延情報取得、本船動静確認、再手配確認まで一気通貫に一元管理することができ、デマレージ発生のリスクを低減させることが可能となります。

「2024年問題」とデマレージ対策で未来に備える

ー Shippio導入の更なるメリットはありますか?


調達物流が可視化されることで、柔軟な在庫コントロールが可能な体制構築ができます。在庫管理ができれば、「倉庫に空きがなく引き取ることができない」という事象も回避できます。

また来年に迫った「2024年問題」では、ドライバー不足によるドレージ確保の困難が懸念されており、現在の手配タイミングよりも早いタイミングでドライバー・車両を手配することが求められます。サプライチェーンを可視化し、柔軟に対応できる体制構築の準備が重要となってきます。

デマレージの発生を完全に回避することは、難しいでしょう。しかし、事前に不特定要因のトラブルや本船動静を正確に把握できれば、可能な限り迅速に前広な行動を取ることができ、デマレージのリスクを最小限にすることが可能です。

リスクを最小限に抑えることは、コスト管理や経営からも、とても重要な観点です。デマレージによる追加コストを最小限に抑え、スムーズな貿易を実現しましょう。

Shippioのソリューションは、本船動静の自動トラッキング機能の他にも、案件の見積からシップメントごとの書類管理、チャットなど社内外のコミュニケーションまで、一元管理・可視化が可能になります。貿易業務の50%が削減された事例もございますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

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