当社は1978年の設立以来、医薬品製造販売業者として活動しています。主な事業は、患者様に安心・安全なジェネリック医薬品をお届けすることです。また、医薬品の原薬や中間体などの輸入・販売、ジェネリック医薬品の製品開発、商品企画、製薬関連企業向けの幅広いコンサルティング事業にも取り組んでいます。セルフメディケーションが期待される昨今、これまでの豊富な経験と確かな実績と信頼を基に、OTC医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品の商品企画から物流までも含めた総合ヘルスケア事業も展開しています。
貿易部は、現在7名で構成されています。私たちは、16か国以上に広がる海外ネットワークを活用し、200品目以上の原薬を取り扱っています。海外の取引先から医薬品や原料を輸入し、国内の製薬会社に提供することで、製薬業界において不可欠な安定供給を実現しています。また、お客様に安全かつ信頼できる高品質な製品やサービス提供を使命とし、日々業務に取り組んでいます。
当社の貿易業務における主な課題は、ナレッジと業務の属人化にありました。輸入業務は、航空輸送を利用したAIR案件が全体の9割を占めています。AIR案件は、船舶に比べて輸送リードタイムが短く、出発予定日(ETD)の変更も頻繁にあります。午前中に貨物が空港に到着し、その日の夕方までに国内のメーカー様へ発送されるケースも多々あり、迅速な意思決定が求められます。そのため、スケジュールの変更が発生した場合は速やかに関係各所へ情報共有を行う必要があるのですが、案件の管理や動静の追跡をExcelで行っていたため、スケジュールの確認が個々に依存し、他部署との情報共有もスムーズに行えていない状況でした。
また、月平均40~50の輸出入案件を実務担当者2名で分担し、個別に管理していました。しかし、この方法では担当者が不在の場合、案件の状況確認が困難となり、業務の滞りが生じていました。属人化を解消し業務効率を向上させるために、案件進捗を共有できる仕組みの導入が急務でした。そこで、全貿易業務を一元化し、リアルタイムで可視化できるシステムの導入を検討しました。
情報共有が一番の課題でしたので、その点を注視して、複数のシステムを比較検討しました。また、選定プロセスでもう一つ重視したのは、コスト面でした。多くのシステムは個別のカスタマイズが必要であり、ユーザー追加ごとに料金が増加されるなど、当社の取り扱う物量と業務内容にシステムのコストが見合わないと感じていました。その中で出会ったのがShippioの「Any Cargo」でした。
実は1年前、Shippioのデジタルフォワーディングに関する提案を受けていました。しかし、システムの使い勝手の良さには魅力を感じていたものの、費用面での懸念から導入を断念していました。その1年後に「Any Cargo」のリリースを知り、その詳細を調べてみたところ、導入作業や料金面の負荷が低く、またシップメント一覧で各案件の進捗状況を一目で確認でき、外出先からもアクセス可能であることに惹かれて、「Any Cargo」の導入を決定しました。
貿易部 岡部様
2023年3月より、当社は「Any Cargo」を本格的に導入し始めました。これが当社にとって初めてのクラウドシステムの導入でした。そのため導入プロセスでは、Shippioの営業担当者の協力を得て、マニュアル資料の配布や勉強会を実施しました。関連する部署に対して「Any Cargo」の使用方法を丁寧に説明することで、システムへの理解を深めることができました。
導入から約1年が経過し、現在は貿易部、物流部(工場)、営業部を中心に20名弱が「Any Cargo」を使用しています。主な用途は、案件の一元管理です。これまでExcelやメールで散在していた書類や情報を、案件ごとに整理することが可能になりました。その結果、あらゆる手続きがスムーズに進行するようになり、全案件が一目で可視化されることで、輸送ステータスの把握や情報共有が各段に容易になりました。
製薬業界においては、輸入審査の基準が非常に厳格です。医薬品やその原料が梱包されているラップや段ボールなどの外装に、たとえわずかな破損があった場合でも、そのすべてを詳細に報告する必要があります。そのため、到着した貨物の状態を記録するために荷姿の写真を撮影し、これらの写真を「Any Cargo」の案件に紐づけて保存しています。外装破損が貨物の中身に影響を及ぼしていないことを申告するためには、迅速に関係各所に確認を取る必要があります。そうしないと、医薬品やその原料のサプライチェーンが停止するリスクがあります。これまでは関係各所や工場とのコミュニケーションがメールや電話に依存しており、伝言ゲームのように時間がかかっていましたが、「Any Cargo」のチャット機能を活用することでリアルタイムの情報共有が可能になり、万が一のダメージが発生した際のコミュニケーションの遅延を大幅に削減できています。
貿易部 前田様
「Any Cargo」を導入することで、商品知識や貿易業務に関する判断など、関連するナレッジをクラウド上に集約し、業務の標準化を実現しました。これにより、営業部はシップメントの一覧をリアルタイムで共有できるようになり、納期や進捗に関する直接的な問い合わせが大幅に減少しました。例えば、顧客先で品目の輸送進捗について尋ねられた際、営業担当者は「Any Cargo」を使って即座に状況を確認し、迅速に回答することができるようになりました。
貿易部にとっても、従来のメールやExcelを用いた案件検索の手間がなくなり、全体のコミュニケーションコストの削減が実現しました。感覚的には、貿易業務一件あたりの工数が以前と比べて約20分短縮されたと感じています。また、「Any Cargo」導入前は輸入の管理業務や確認作業に長時間を要していましたが、導入後はほぼ残業がなくなり、貿易業務の可視化により既存の管理業務の見直しも実施できました。具体的には、導入前までは輸入の管理に3つのExcelを使用していましたが、導入後は集約することができました。
特に取扱品目数が多く、輸出入件数が多い会社では、貿易業務における業務属人化が避けられない傾向にありますが、「Any Cargo」による案件の一元管理は、情報共有と連携をスムーズにし、大幅な業務効率化をもたらします。同様の課題を抱える他社にも強くおすすめしたいです。
Shippioへ期待している点は、何といっても現在手動で更新している航空案件の自動トラッキング機能の導入です。AIRの発着スケジュールや遅延状況を自動で追跡できれば、確認作業の工数が大幅に削減され、さらなる業務効率化が期待できます。これは、航空貨物を中心に輸出入を行っている多くの企業にとっても待望の機能だと思います。
今後の活用については、現状は輸入業務に「Any Cargo」を利用していますが、輸出業務にも徐々に「Any Cargo」を導入していく計画です。また、物流事業者や通関事業者との連携を強化するために、「Partner Connect」の導入も検討しています。業務効率化を図るツールであると同時に、「Any Cargo」はスムーズな案件進行を実現することで、安全で高品質な製品の安定供給にも寄与しています。もはや当社には欠かせない存在です。今後も「Any Cargo」の活用範囲を広げ、その可能性を最大に引き出していきたいと考えています。
Shippioでは国際物流の可視化を実現し、情報共有機能や、貿易書類・請求書管理、納期調整を一元管理できるクラウドサービスを提供し、貿易業務の可視化・効率化をサポートしております。
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