物流改革を進める上で、物流をコストセンターとしてではなく、経営課題の解決に向けた価値創造の手段として捉えることは、非常に大きなテーマです。リードタイム短縮や、安全輸送は付加価値としてもちろん重要ですが、物流をそれに留まらない経営課題の解決につながる手だてとしたいと思っています。
「SCMの高度化」の観点で課題を分析すると、原因の一つとして、三国間貿易の増加が挙げられます。これは生産・出荷・輸入状況が、輸入国にとって可視化が困難であり、いつ商品が到着するのか不明確であるという課題です。この課題により、適正在庫からの乖離や、納期回答の遅れが発生します。その結果、ある製品は欠品を起こし、またある製品は過剰在庫となるという状況が発生していました。
これらの課題を解決するために、従来は月単位でのPSI管理をしていましたが、輸入国側のディストリビューションセンター(在庫型物流センター)の在庫予測を、さらに細かな週単位での管理に変更しました。
PSI管理は工場から出荷した製品だけでなく、これから工場で生産される製品についても計画の段階から着荷予測を作成し、販売予測と連携させていくことが大切です。つまり、後工程の情報をいかに細かいメッシュで上流につなげていくかが重要となり、そのためには物流倉庫内の在庫予測を可視化することが必要になります。
そのためには3PLのサービスを活用して下流から上流までの情報を統合し、さらにトラッキングシステムを活用して、商品がいつ着くかを常に可視化することも重要です。これにより、足元の在庫予測だけでなく数週間先の在庫予測まで立てることが可能となります。
さらにフォワーダーの統一も行い、生産、出荷、輸送、販売といった情報をSKU単位でフォワーダーと連携することで、在庫適正化につながる仕組みを構築しました。このようにフォワーダーと情報連携を強化することで、より正確な在庫予測が可能となり、結果として在庫の適正化や顧客満足度の向上に寄与することができました。
会社としての大きな成果やコミットメントは、利益をいかに出すか、フリーキャッシュフローをいかに改善させるかといった数値に集約されます。売上を増やすには、顧客に製品を満足していただくことが重要です。つまり、顧客満足度は物流の改善と密接に関連していると言えます。
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