本記事では、物流のコスト削減をどうやって実現するのか、効果的な削減方法について実例を交えながらご紹介させていただきます。
・物流のコストを削減したいけど方法がわからない
・そもそも物流コストが上昇する原因って何?
・自社の物流コスト削減に本気で取り組んでいるが最初になにに取り組むべき?
などのお悩みを持つ方はぜひ最後まで一読ください。
物流コストとは、文字通り物流に関わる全ての費用のことを指します。
物流と一口に言っても多くの工程が存在するので、複雑でイメージがしにくいかもしれません。実際に物流コストを削減をするためには、どの工程にどれだけ費用が発生しているのかを構造的に分解し、理解することが必要不可欠となります。
物流の工程は大きく以下の5つに分類することができます。
・輸送費
・荷役費
・保管費
・包装費
・物流管理費
日本ロジスティックス システム協会の「物流コスト調査」においても上記5つの工程に分けられています。
以下の図は業種別にみた物流コストの機能別構成比を表したものです。
(2022 年度 物流コスト調査報告書【概要版】 よりShippio作成)
それぞれ詳しくご紹介します。
まず最初に発生するのは輸送費用です。この料金は、「モノの大きさ/重さ」「運ぶ距離」「運ぶ時間」の3つの要素で決まります。
・「重い荷物」を「遠く」に「素早く」輸送すると、輸送費は高くなる
・「軽い荷物」を「近く」に「ゆっくり」輸送すると、輸送費は安くなる
物流コスト調査2022においても、物流コスト全体で輸送費の割合は55.1%を占めており、輸送費の削減は、物流コスト削減に直接繋がりやすいといえるでしょう。
荷役とは荷物を輸送機に積んだり降ろしたりする作業のことを指します。
荷役の中でも、コンテナに積み込む作業をバンニング、降ろす作業をデバンニングといいます。
荷役には基本的に人手が必要となるため、いかにして効率化するか、を工夫することがコスト削減に繋がります。
届いた荷物や商品を倉庫で保管したり、管理することを指します。保管期間が長いほど、費用がかさんでいきます。
無駄なスペースが発生していないか、効率的に作業ができるよう配置が整理がされているのか、期限や温度などが適切に管理されているのか、などを注意する必要があります。
在庫の適正化や、過剰在庫の問題を解決する方法の一つとして、在庫管理システムがあります。在庫状況のリアルタイム可視化や業務効率化などを実現することで、倉庫費・保管費・人件費を削減することができます。
在庫管理システムに関する詳しい解説は「自社の課題に合わせて、在庫管理システムを導入しよう!必要とされる背景や導入メリットなどを解説」にてご確認ください。
届いた商品を出荷できる状態にする作業を指します。
具体的には、梱包作業やシールを貼り付ける作業・タグ付け作業などがあります。
梱包や包装作業は商品の性質によって、最適な梱包形態は異なるため、注意が必要です。
輸出梱包に関する詳しい解説は「実は奥が深い輸出梱包|注意点や種類、海外輸送の手配方法」をご確認ください。
物流業務全体を標準化したり、管理したりするツールの導入費用も発生します。
例えば、幅広い業務に適用可能な、基幹システムと呼ばれるSAPのようなERP(Enterprise Resource Planning)のツールがあります。
その他にも、前述の在庫管理システムのような特定の工程の業務効率化・可視化に特化したツールも存在します。
Shippioは国際物流の可視化ができるクラウドサービスで、貨物の輸送状況をリアルタイムで確認することができます。
物流コストが上昇している背景と3つの理由を解説します。
新型コロナもあり、個人のEC・Eコマース利用が増加した影響で、物流の需要は大きく増えています。こうした需要の増加で供給不足が発生し、結果的に物流コストは上昇傾向です。
2022 年度 物流コスト調査報告書の「値上げを要請されたコストの種類」のアンケートによると最も値上げ要請がされたのは輸送費の106社となっています。
(2022 年度 物流コスト調査報告書【概要版】 よりShippio作成)
物流業界に限った話ではありませんが、少子高齢化社会の影響もあり物流業界も人手不足が深刻になっています。特にトラックドライバーの人手不足は深刻です。トラックドライバーの長時間労働が問題視され、時間外労働の規制が厳しくなる「2024年問題」も相まって、働き手不足は急速に進行していくことが予想されています。
需要や物量は増加しているにも関わらず、供給が減ることで物流コストは上昇していきます。
先述した通り、物流の工程は大きく5つの工程に分類することができます。
・輸送費
・荷役費
・保管費
・包装費
・物流管理費
どの工程にどれだけコストがかかっていて、どの工程に課題があるのかを正しく把握することが、物流コストを削減する第一歩です。そのために必要なのは業務や課題の見える化です。
では、実際に物流コスト削減を実現するためにはどんな方法があるでしょうか。
ここでは、物流コストの削減方法を4つご紹介します。
関係業者に単価の引き下げ交渉をするという方法もあります。
一方で、物流の需要が増加し、かつ働き手不足の問題もあるため、単価引き下げは現在の市況を鑑みると難易度が非常に高い手法といえます。
日本国内で複数の倉庫を使用している企業も多いのではないでしょうか。
倉庫が多いとそれだけ管理費用や人件費が発生します。
同時に、在庫商品がある倉庫が偏っていると
・商品Aを福岡工場から東京の顧客へ発送
・商品Bを埼玉工場から熊本の顧客へ発送
などの無駄な配送コストがかかってしまうリスクがあります。
最適な倉庫から最適なルートで配送を行うことで、物流コストを下げることができます。
在庫や発注している工場をすぐに切り替えることは難しいので、倉庫の最適化に要するリードタイムは長くなってしまうかもしれません。しかし倉庫の最適化や物流拠点の見直しはコストを削減する上でインパクトの大きな施策の一つとなります。
働き手が不足していく中で、とりわけ不安視されているのがトラックドライバーの確保です。少ない人で効率的に仕事を回すために、トラック1台あたりの積載量、積載効率を向上させることは経営の観点からも非常に重要な課題になります。
結果的に積載量・積載効率を上げることで、無駄が抑制されコスト削減に繋がります。
物流コスト調査においても「物流コスト適正化への効果が大きかった施策」の1位が【輸配送改善】となっており、実際にコストの適正化を実感している事業者も多く存在します。
【物流コスト適正化への効果が大きかった施策】
順位 |
物流施策 | 回答数 |
1 |
輸配送改善(積載率向上、混載化、帰り便の利用、コンテナラウンドユース、エコドライブなど) |
23 |
2 | 在庫削減 | 20 |
3 | 輸配送経路の見直し | 12 |
4 | 保管改善(保管の効率化、ロケーションの見直し等) | 9 |
5 | 物流拠点の見直し | 8 |
(2022 年度 物流コスト調査報告書【概要版】 より一部抜粋しShippio作成)
業務の効率化・可視化し、現状発生している無駄を省くことによって、インパクトの大きいコスト削減が可能になります。業務の効率化、可視化を進めていく上で、良きパートナーとなるのが物流・貿易管理システムです。
商品の在庫数、入庫の管理、出庫の管理、製造番号のデータ管理などを一元管理する在庫管理システムや、輸送状況を可視化する貿易管理システムなど様々の種類が存在し、導入ハードルが高くないものも多いです。
自社の課題にとって最適なシステムの導入を検討をしてみてはいかがでしょうか。
物流コスト調査においても、「物流コスト適正化のために実施予定の物流施策」で【物流デジタル化の推進】が1位となっており、システムが多くの企業で検討・導入されているといえます。
実施予定の物流施策
順位 |
物流施策 | 回答数 |
1 |
物流デジタル化の推進(AI導入、PRADA導入、伝票電子化、物流情報システム導入など) |
19 |
2 | 輸配送改善(積載率向上、混載化、帰り便の利用、コンテナラウンドユース、エコドライブなど) | 15 |
3 | 自動化・機械化の推進(マテハン・ロボット・自動倉庫等の導入など) | 13 |
4 | 物流拠点の見直し(拠点数増) | 10 |
5 | 在庫管理 | 7 |
(2022 年度 物流コスト調査報告書【概要版】 より一部抜粋しShippio作成)
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物流のコスト削減をどうやって実現するのか、効果的な削減方法についてご紹介しました。
物流の工程は大きく輸送費、荷役費、保管費、包装費、物流管理費の5つに分けることができます。本記事を参考にしていただき、どの工程に費用がかかっているのか、改善の余地があるのはどの工程か、課題感をしっかりと把握し、適切に物流のコスト削減のプランニングを立ててみてください。
Shippioは、日本初のデジタルフォワーダーとして、フォワーディングをご依頼いただいた荷主さまにむけて、業務効率化のクラウドサービスを提供しています。貿易に関する業務は煩雑で、アナログなやり取りが多く発生します。物流コストを削減するために、貿易業務の可視化・効率化をお考えの荷主さまはぜひお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。