貿易業務の改善をサポートするサービスとして、貿易管理システムがあります。貿易業務は業務範囲の幅広さや専門性の高さから、属人化しやすく、管理が複雑になりがちです。
そのため、近年、貿易業務の改善を目指して貿易管理システムを導入する企業も増加しており、これからの導入を検討しているという企業も多いのではないでしょうか。
今回は、貿易管理システムの内容や導入メリット、システムを選ぶ際のポイントなどを詳しく解説します。
貿易管理システムとは、輸出や輸入に関わる業務の効率化をサポートするシステムです。
貿易管理業務には、貿易書類の作成や、輸送手段の手配、スケジュール管理、通関手続きなどがあり、業務の幅が広く、荷主や通関業者、税関、キャリア(船会社・運送会社)など関係者の数も多いため、管理が複雑になるという特徴があります。
そのため、貿易管理システムは近年、貿易業務の改善を目指す企業に導入されています。
貿易業務の課題として、業務の幅が広く、担当者の負担が大きいことや、専門知識が必要になるため、属人化しやすいという特徴があります。
①業務の幅が広く、負担が大きい
貿易業務では、インボイス、パッキングリスト、船荷証券、信用状、為替手形といった複数の貿易書類の作成・管理業務があります。他にも、輸送手段の手配、通関の手配、貿易相手とのやりとり、スケジュール管理などがあり、業務の幅が広く、業務量が多いため、業務の負担が大きくなってしまうという課題があります。
②専門性(貿易に関する専門知識・言語など)が高く、属人化しやすい
また、専門性が高く、業務が属人化しやすいという特徴があります。貿易では国を超えての取引となるため、国ごとに法律が異なったり、貿易に関する専門知識が必要になります。加えて、貿易書類は英語で書かれていることがほとんどで、海外とのやり取りも発生するため、外国語を理解する力も求められます。そのため、専門性が高くなり、貿易業務は担当者に業務が集中してしまうことが課題となっています。
貿易業務には上記のような課題があり、複雑な管理を見直すなかで近年、業務改善のサポートとして導入されているのが貿易管理システムです。貿易管理システムには様々な種類がありますが、書類作成や仕入管理や外国送金などの業務を、システムによって一元管理を可能にするなど貿易業務改善をサポートしています。
また、世界の港湾のコンテナ取扱個数は2002年から2022年までの20年間で約3倍に増加しており、国際貿易の取引量は年々増加しています。各企業の貿易業務量も増加しているため、貿易業務の見直し・改善が検討されています。
貿易管理システムはどれでも同じではなく、それぞれの機能や、強みから分類することができます。実際に貿易管理システム導入を検討する際にも、改善したい業務によっても選ぶべきシステムが変わってきます。そこで今回は、貿易管理システムを大きく3つに分けて紹介します。
1つ目は受発注、在庫・仕入れの管理機能を持つシステムです。
貿易業務の中でも受発注や、在庫管理、仕入れ管理、入出金管理などに対応した機能を備えており、例として「アラジンオフィス」や「PORTNeT」などのシステムがあリます。
受発注、在庫管理、仕入れ管理などの業務の効率化・見える化をすることで過剰在庫の削減や生産ラインの稼働率向上が可能になります。
受注・発注管理:受注契約書の出力や、為替予約の引き当てにも対応
在庫管理:入荷ロット別管理などにも対応
進捗管理や、情報を一括で共有できる機能を持つシステムもあります。例としては「Shippio」などがあります。貿易では関係者の数が多く、情報共有が煩わしいことや、情報がうまく伝達されていないケースがありますが、進捗管理や情報を一括共有できる機能を持つシステムを用いることで、ミスなく、素早い情報共有が可能になります。
情報共有機能:クラウド上での進捗状況管理や、関係各所とのやり取りが可能です。
本船動静確認機能:自動更新で本船動静を確認することが可能です。
多数の書類作成が必要な貿易業務ですが、書類作成をサポートする機能を持つシステムもあります。インボイス、パッキングリストなどの書類作成から、管理も一元的に行うことができ、業務を効率化することが可能になります。クラウド上で書類を管理できるシステムを利用することで、ペーパーレス化やテレワークの促進が期待できます。
書類作成・管理機能:貿易書類の作成や、作成した書類のシステム上での管理に対応したものもあります。
貿易管理システムを導入するメリットとして、”貿易業務の一元化”があります。貿易業務は、業務量や関わる人数が多さからやりとりの数が多くなるという特徴があります。
書類の作成や管理、情報共有に対応した貿易管理システムを導入することで、紙で管理していた貿易書類をデータで一元管理し、貿易に関わる情報を共有することができます。これらのシステムの導入によって情報へのアクセス速度や管理工数を低減することで、業務の効率化を図ることができます。
また、担当者が情報を多数の関係者にそれぞれ報告する必要がなくなり、コミュニケーションコストを大幅に下げることで貿易担当者に集中していた負担を軽減させることが可能になります。
貿易管理システムの導入により、属人化しがちな貿易業務を標準化することも可能になります。貿易業務は業務の幅広さや複雑さ、専門性の高さ、レガシーシステムの影響などもあり、一人の担当者に業務が集中してしまうという事が考えられます。
貿易管理システムを活用することで、個々人のタスク共有や書類のブラックボックス化などを避けることが可能になります。
それによって、業務引継ぎの手間の軽減や同僚の急な休暇対応、イレギュラーな顧客対応などにも対応ができるようになり、業務標準化に近づけるのではないでしょうか。
貿易システムを導入する際には、自社での目標を事前に明確にすることが大切です。システムをうまく活用できない例として、目標を明確にしていなかったことにより、成功を証明できず、プロジェクトが自然消滅してしまうというケースがあります。改善したい業務など、事前に目標を明確にすることで、何がどう改善したか把握でき、業務改善につなげることができます。また、貿易管理システムのタイプで述べたように、貿易システムはそれぞれ異なる機能や強みを持っており、それによって対応できる貿易業務も変わっていきます。自社が改善すべき業務を明確にすることで、目的に合わせて対応することができます。
導入後のポイントとしては、サービスの導入と業務プロセスの改善を組み合わせること、定量的に結果を分析することなどが大切になります。サービス導入と並行して業務プロセスの見直しを行うことで、導入効果をより大きくすることが可能になります。結果の定量的な分析では、導入前後での比較や、事前に設定した目標と進捗状況を確認します。結果や進捗を可視化することで、より効果を実感することができます。
今回の記事では、貿易管理システムについて、内容や種類、導入メリットなどについて解説しました。貿易業務では、属人化しがちで、貿易担当者に負担がかかることが課題となっています。貿易管理システムでは、受発注や在庫管理に対応したシステムや、進捗管理や情報共有機能を持つシステム、書類作成に対応したシステムなどがあります。これらのシステムをうまく活用することで、複雑な貿易業務を効率化することが可能です。書類をシステム上でデータ管理したり、情報共有機能を持ったシステムを導入することで社内の貿易業務を標準化することが可能になります。これにより、担当者の負担の軽減や、貿易業務の効率化につながります。また、導入の際には、自社の改善すべき業務を明確にし、最適なシステムを導入することが大切です。システムによりそれぞれ機能や強みが異なるため、自社の課題を明確にすることで最適なシステムを選ぶことができます。
Shippioでは、デジタルフォワーダーとしてフォワーディング業務に加え、貿易業務を効率化するクラウドサービスを提供しており、デジタル化やDXの支援を強みとしております。
2022年9月には、日本マーケティングリサーチ機構が実施した「貿易管理サービスについてのインターネット調査」において、「貿易関係者が選ぶ、貿易管理サービス」「導入しやすい、貿易管理サービス」「貿易DXのために取り入れたい、貿易管理サービス」の3項目で第1位を獲得しております。
* 『貿易管理サービスについてのインターネット調査』(日本マーケティングリサーチ機構、2022年8月度)
本船動静の自動更新、貿易書類の管理、納期調整などの貿易業務を一元管理し、貿易業務の効率化に貢献しております。ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。