NVOCCとは?フォワーダーとの関係、NVOCCの業務内容を解説

2022.12.25

 

NVOCCという言葉を聞いたことはありますか?また、聞いたことがあるという方でも言葉の意味や、どんなものなのかわからないという方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、NVOCCの定義や業務内容、NVOCCの業者選定のポイントまで、デジタルフォワーダーとしてNVOCC業務を行うShippioが詳しく解説します。

 

 

NVOCCとは?

NVOCCは、「Non Vessel Operating Common Carrier」を省略した言葉で、「エヌ・ブイ・オー・シー・シー」と読みます。ここでは、NVOCCの言葉の定義や背景について、法律や歴史の観点から解説していきます。

NVOCCの定義

日本語に訳すと「非船舶運航一般輸送人」となります。これは、自社では船舶などの輸送手段を保有せず、船会社の船舶などを利用して貨物の輸送を行う運航業者のことで、不特定多数の荷主から貨物を引き受け、船会社に運送を依頼して貨物を輸送する業者のことを指します。また、慣例的には、船舶以外の輸送モードもNVOCCに含まれてきますが、本来の言葉の定義としては、海上での利用運送業者を表します。本記事では、海上輸送に特化した輸送業者をNVOCCと定義して解説します。

 

NVOCCの歴史

NVOCCの概念は、1960年代、コンテナ化が始まり、荷主から荷受人までの一貫輸送が可能となった事から誕生しました。しかし当時、定期船会社はコンテナ船や港の整備に注力していたため、一貫輸送への関心は低く、大きな進展はありませんでした。

 

転機となったのは1980年代、米国のレーガン大統領による海運規制緩和政策の一環で行われた「1984年海運法」の制定です。同法ではNVOCCを初めて定義し、海運同盟に対し法的に大口割引運賃の導入を認めさせたことで利益を得やすくなったため、一貫輸送への関心が高まり、NVOCCへの進出が盛んになりました。

 

日本では、1990年に施行された貨物取扱事業法(現・貨物利用運送事業法)の外航利用運送事業にあたり、フォワーダー(利用運送事業者)がNVOCC業務に参入するようになりました。

NVOCCとフォワーダー

ここまでNVOCCの定義と歴史について解説してきましたが、続いて、NVOCCとフォワーダーの関係性について解説します。

NVOCCとフォワーダーの関係性

 

フォワーダーとは、荷主と船会社などの間に立ち、輸出入業務を代行する国際輸送分野の「貨物利用運送事業者」を指し、荷主から預かった貨物を、船舶、航空機、鉄道、トラックなどの手段を用いて、輸送します。

海外で生産した商品を日本で流通させる「輸入」や、日本から商品を海外に送る「輸出」に関わるあらゆる手配を行う、国際物流のスペシャリストです。

 

フォワーダーには以下のような分類があります。

 

  • 海上輸送をメインとするNVOCC(Non Vessel Operating Common Carrier)
  • 航空をメインとする航空フォワーダー(Air Freight Forwarder)
  • 複数の荷主の小口貨物をまとめて輸送する混載業者(Consolidator)
  • 運送契約を一本化し一貫輸送を行う国際複合一貫輸送業者(Mutimodal Transport)
  • 輸送手段を持ちながらフォワーダーの機能も持つインテグレーター(Integrator)

 

これらのフォワーダーの分類の一つとして、海上輸送に特化したフォワーダーがNVOCCと呼ばれています。

NVOCCの業務内容

次に、NVOCCの業務内容について解説します。NVOCCの役割は、荷主と運送業者の仲介となり、荷主から依頼を受けた貨物を責任をもって輸送することです。

 

NVOCCは、荷主から見ると運送人となり、運送業者(船会社)に対しては、輸送を依頼する荷主という関係になります。

荷主と船会社の直接契約の場合は、荷主が自ら港湾までの輸送手段を手配する必要があるのに対し、荷主がNVOCCに輸送を依頼した場合は、NVOCCが船舶以外にも陸上など様々な輸送手段を組み合わせて輸送サービスを提供することが可能です。

 

例えば、トラックなどを利用して集荷地から港湾までの陸上輸送、港湾での貨物の保管から、目的地までドア・ツー・ドアで届けることが可能となります。また、輸送だけではなく、通関手続や保険への加入手続き、貿易書類作成などを行うこともあります。

 

NVOCCの業務内容まとめ

 

  • 船舶以外にも陸上など複数の輸送手段を組み合わせて輸送サービスを提供
  • 集荷地から港湾までの陸上輸送、港湾での貨物の保管など
  • 通関手続、保険への加入、書類作成など

NVOCCの運送方法

NVOCCは自社で輸送手段を所有していないため、輸送手段を保有する船会社に、NVOCCが契約上の荷主となって輸送を依頼します。NVOCCは、船会社と大口貨物荷主として契約するため、割引運賃で貨物を輸送することができます。

 

また、荷主企業からすると、船会社との直接契約では船舶輸送のみの契約になり、通関や陸上輸送を自ら別途手配する必要がありますが、NVOCCを利用することで、窓口をNVOCCに一元化し、目的地まで貨物を輸送できるようになります。

 

NVOCCを利用するメリット

NVOCCは輸送手段を持たず、複数の輸送モードを組み合わせてサービスを提供することが可能です。荷主企業が船会社との直接契約をする場合には、港湾から港湾までの輸送になりますが、NVOCCを使うことによって、集荷先から納品先までのドア・ツー・ドアの輸送が可能になります。

 

また、NVOCCが船会社の大口貨物荷主として契約することで、いち荷主として契約するよりも大量の輸送を依頼することができるようになるため、安価な運賃でサービスを提供することができます。

 

NVOCCの選定のポイント

NVOCC各社には、それぞれに強みや特長があります。多くのNVOCCでは海上輸送にとどまらず、トラックなど他の輸送モードを組み合わせて輸送しています。そのため、NVOCC各社でサービス内容、輸送方法が異なります。ここではなぜ輸送手段を持たないNVOCCを選ぶのか?また、数多くのNVOCCの中から自社に合った適切な業者を選ぶためのポイントを解説します。

 

NVOCC業者の得意な地域から選ぶ

NVOCC各社にはそれぞれ得意な航路や地域があります。各社の得意とする航路・地域を調べ、自社が貨物を輸送したい国や地域に強いNVOCCを選ぶことが重要です。得意エリアは、国や地域により異なる法規制や商慣習への対応力、現地の物流ネットワークの充実度、取扱数量による輸送料金設定などによって決まってきます。

 

NVOCC業者の系列を見て選ぶ

NVOCCを選ぶ際に、企業の業種も選ぶポイントになります。物流に関わる様々な業種の企業がNVOCCに参入してきており、企業の業態によっても強みは異なるため、自社の輸送内容に最適なNVOCCを選ぶ事も大切です。日本では以下のような業種の企業がNVOCCを行なっています。

 

  • 総合物流事業社
  • 陸送事業社
  • 船会社
  • 倉庫会社
  • 鉄道会社
  • 製造業・メーカー
  • 総合商社

まとめ

ここまで、NVOCCの言葉の意味や業務内容、NVOCCを選ぶメリットや業者の選び方を解説してきました。NVOCCは輸送手段を所有せずに、荷主と運送業者の仲介として輸送を手配する業者で、フォワーダーの中でも海上輸送を軸としています。

 

荷主はNVOCCを利用することで、複数の輸送手段を組み合わせ、ドア・ツー・ドアの輸送を実現できます。NVOCCは、それぞれ得意とする地域や航路、輸送モードが異なり、サービス内容も通関や保管、保険など各社様々です。そのため、NVOCCを選ぶ際には複数の会社のサービス、得意分野、コストを比較することで、相性の良いNVOCCを見つけることが重要です。

 

NVOCCをご検討の際は、日本初のデジタルフォワーダーとしてNVOCC業務を行うShippioまでお問い合わせください。クラウドサービスによる国際輸送業務の一元管理で、貿易業務効率化に貢献します。

 

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