レポート | Shippio | 貿易業務の可視化・効率化クラウドサービス

サプライチェーンの可視化で実現するサプライチェーンリスクの低減とBCP対策

作成者: Shippio|2023.07.27

近年、自然災害によるサプライチェーンリスクが非常に高まっています。平時から災害発生時に備え、サプライチェーンの途絶を防ぐための対策に取り組めば、いざ被災した際に深刻な事態に陥るリスクが減ります。しかし何が起きるか分からない災害に対し、どのようなサプライチェーンの災害対策をすれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、サプライチェーンリスクの概要と被害を受けた場合の悪影響について、またShippioのソリューション展開、「貿易実務の効率化」と「国際物流の可視化」の効果とBCP(※1)対策について、コンサルティングセールスの川嶋に話を聞きました。

※1 Business Continuity Planningとは事業継続計画のことで、災害やテロ、システム障害など危機的状況が発生した際に被害を最小限に抑え、事業の継続を早期に図るための計画のこと

■本記事は、2023年7月12日に開催した「過去最大級?!今夏のエルニーニョ現象によるサプライチェーンへの影響と対策」と題して行ったセミナーを元にしています。

 

Profile

川嶋 章義/コンサルティングセールス
総合物流会社の配送センターでの現場管理・提案営業、大手電機メーカーでの物流企画を経験した後、2020年にShippio関西支社立ち上げメンバーとして参画。
数多くの顧客にShippioを導入し、顧客課題の解決、業務の効率化・標準化を成功させた実績がある。
ShippioのMissionである「理想の物流体験を社会に実装する」ために日々奮闘中。

 

 

 

 

懸念される自然災害によるサプライチェーンへの影響

ー いま懸念されている、サプライチェーンに影響を及ぼす自然災害を教えてください

 

さまざまな専門機関や専門家が、現在発生しているエルニーニョ現象に警鐘を鳴らしています。しかも通常とは違い、異常気象をもたらすとされる過去最強クラスの「スーパーエルニーニョ現象」に発展する可能性が極めて高いと言われています。

 

ー エルニーニョ現象とはどういうものですか?

 

エルニーニョ現象とは、南米太平洋沖合の海水温度が平年よりも0.5度以上高い状態が1年続く状態を言います。「スーパーエルニーニョ現象」は海面水温が2.0℃以上、上昇するものを指し、観測史上4回しか記録されていません。これにより、世界中で異常気象が発生することが懸念されています。

日本も例外ではなく、非常に勢力の強い、超巨大台風が襲来すると警戒を呼びかけています。さらに今年は平年に比べ、29個前後の大変多くの台風が到来すると予想されています。

実際2015年にエルニーニョ現象が発生した際、日本では台風による豪雨で鬼怒川の堤防が決壊するなど大きな被害がでました。

 

ー 自然災害によってサプライチェーンが途絶した過去の例を教えてください

 

 

2011年から今年までに発生した、サプライチェーンが途絶した過去事例です。特に、自然災害によってサプライチェーンが寸断された事例を赤枠で囲っています。

2018年に発生した台風21号は、西日本を中心に甚大な被害をもたらしました。特に神戸港や関西空港が高潮の被害を受け、サプライチェーンに大きな影響がでました。

 

ー 直近での自然災害によるサプライチェーンの被害を教えてください

 

 

今年に入り、すでに6月・7月だけでも多数の異常気象が観測されています。日本では、九州北部や山口県、北陸などで甚大な被害が出たことは、皆さまもご承知のことだと思います。

 

 

国連のWMO(世界気象機関)は、今後5年間が記録的な暑さとなり「地球の気温は未知の領域に入る」と警告し、健康や食糧安全保障、水の管理環境など広範囲への影響に備える必要があると警鐘を鳴らしています。

実際に、ベトナムで44.1度・ラオスで43.5度と、観測史上最高を記録しています。さらに世界の平均気温を観測している米国立環境予測センターは、今年の7月に入り1週間の内に2回、記録を更新していると発表しました。

この異常気象は、温暖化現象に加えて「スーパーエルニーニョ現象」が要因になっているとの見解が出されています。

情報のハブを「人」から「クラウドサービス」へ

ー 自然災害に対する対策には、何が必要ですか?

 

自然災害は人の手では防ぐことが困難なため、起こることを前提として普段から準備しておくことが重要です。有事の際は被害を最小限に抑え、その後いかに迅速に現状復帰できるかがポイントになってきます。この迅速に危機から立ち直る力のことを「サプライチェーンレジリエンス(回復力)」と呼び、近年注目が集まっています

サプライチェーンレジリエンスを高める有効な策の一つとして、「サプライチェーンの可視化」を行うことが重要だと考えています。

 

 

有事の際、情報収集や指示確認をタイムリーに実施することが重要な点に挙げられます。現状、多くの荷主さまは「人を情報のハブ」とし、メールや電話を使ってやり取りを行っています。有事の際は情報が混乱し、情報を集約するだけで2〜3日程度は使ってしまいます。それが初動対応の遅れとなり、その間に被害が拡大してしまう原因にもなります。

 

ー Shippioの可視化ソリューションについて教えてください

 

Shippioのクラウドサービスは、貿易実務担当者さまのみならず、社内外の方も最新情報にアクセスすることが可能です。つまり、「人が情報のハブ」から「クラウドサービスが情報のハブ」に切り替えることで、指示確認・対応策の意思決定など迅速な初動対応を取ることができます。これにより、被害を最小限に食い止めることが期待できます。

 

 

有事の際もスピーディーに意思決定ができる体制構築

Shippio のクラウドサービスは、シップメントごとに管理しています。有事の際に対象となる貨物を、絞り込みやワード検索で即座に特定することが可能です。

 

 

例えば、検索窓に以下の条件を入れて絞り込みをします。

    • シップメントステータス > 未完了の発送
    • 入港日順
    • TOKYO

 

絞り込まれて出てきたシップメント一覧の「入港」の日付から、該当貨物を探します。ここのステータスで、入港済みか、まだ洋上かの判断も可能です。さらに、該当シップメントの本船名や出港入港の遅延時間などの詳細をご確認いただけます。これで、コンテナの所在が把握できるわけです。

 

被害にあったシップメントの状況が把握できたら、いかに早くその中身を把握し、どのような対策を取るかが重要になってきます。Shippioはシップメントごとに「ファイル」格納がされているので、パッキングリストを即座に確認できます。これにより、このコンテナに何が積載されているか把握が可能です。

最後に、関係各所と情報を共有し対策を取ります。ここで重要なのは「情報が交錯しない」ことと「意思決定を迅速に行う」ことの2点です。

Shippioは同画面上のチャットで貿易実務担当者さまはもちろん、営業、海外の現地法人と同時に会話をすることが可能です。もちろん外国語にも対応していますので、英語や中国語でチャットを使用したテキストコミュニケーションが行えます。記録が残らず、伝え間違えなどのリスクが発生しやすい電話ベースの情報伝達から、履歴が残るテキストベースへ切り替えることで、リスクも軽減できます。

「クラウドサービスを情報のハブ」に切り替えることで、関係各所が常に最新情報にアクセスでき、スピーディーに意思決定ができるBCP対策の体制構築が可能になります。

 

 

さらに、納品先倉庫(外部倉庫)も巻き込み、荷主・納品先倉庫(外部倉庫)・オペレーターの3者で会話ができる3者間チャット機能もございます。こちらも同じチャット画面上で、3者同時にコミュニケーションが取れるので、納品日時の調整をストレスなく、かつスムーズに行うことが可能となります。(※2)

※2 3者間チャット機能を利用するには、特定の条件がございます

組織のサプライチェーンレジリエンスを向上させるためには

サプライチェーンリスクに対応した実績と蓄積されたノウハウは、会社の資産です。このノウハウを周知していくことが、組織を強くしていく非常に重要なポイントになってきます。

Shippioのクラウドサービスは、スケジュール・ファイル・チャット履歴がデータとして蓄積され、保存することができます。この情報で定期的に社内で勉強会を行い、メンバーへの横展開を行えば、組織の対応力が向上します。そしてそれが、サプライチェーンレジリエンスの向上に直結しBCP対策が可能となります。

そのためにはまずサプライチェーンの可視化を行い、サプライチェーンレジリエンスを高める有効な施策を敷くことが重要だと考えています。

ShippioのソリューションはBCP対策の他にも、本船動静の自動トラッキング機能、案件の見積からシップメントごとの書類管理、チャットなど社内外のコミュニケーションまで、一元管理・可視化が可能になります。貿易業務の50%が削減された事例もございますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

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