様々な分野で「DX」や「イノベーション」の必要性が求められる現在、貿易業務DXも例外ではありません。どのような変革がサプライチェーン・マネジメントに役立つのか、どんな施策が貿易業務の省力化となるのか。
それを追及すべく、株式会社Shippioは「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ2016年に設立しました。クラウドサービスとフォワーディングを併せて提供する、日本初のデジタルフォワーダーです。
本記事では輸出荷主に注目し、貿易業務の課題と、Shippioのソリューション展開、「貿易実務の効率化」と「国際物流の可視化」の効果について、コンサルティングセールスの平田に話を聞きました。
Profile
平田 力/コンサルティングセールス
総合物流会社に新卒入社し、港湾倉庫で現場管理に従事。その後、輸出営業課で荷捌業務や提案営業に関わり、大手化学メーカーの輸出配送センター立ち上げや、大型設備輸送案件の契約獲得など多数の実績をつくった。
2022年にShippioセールスメンバーとして参画。自身の経験を活かし、輸出荷主の課題解決にも注力。現地法人の活用などにより貿易業務の効率化・標準化を実現している。
輸出に限ったことではありませんが、多くの荷主さまは情報をメールや電話、PDFやExcelなど多岐にわたったコミュニケーションツールを使って社内外とやり取りされています。その中心には「情報のハブ」となって貿易実務担当者がおり、そこに負荷が集中しています。
輸出の貿易実務担当者には、大きく3つの工数負荷が発生すると考えています。
この負荷をいかに軽減させるかが課題だと感じています。
クラウドサービスによる「サプライチェーンの可視化と一元管理」だと考えます。
Shippioのクラウドサービスは、PDFやFaxで届いた関係書類を、シップメントごとに紐づけて管理ができます。今までワード検索でメールを探していた工数や、膨大なファイルから紙で保管されている該当書類を探す手間が、該当のシップメント画面を開きワンクリックするだけで、欲しい書類情報を引き出すことが可能になります。
クラウドサービスは貿易実務担当者のみならず、自社倉庫や工場、生産・出荷担当や営業担当、また海外現地法人も最新情報にアクセスすることが可能です。これにより、貿易担当者を介して情報を得なくとも、自ら欲しい情報をクラウドサービスから取得することが可能になります。
また、Shippioの本船動静トラッキングサービスは、船会社サイト等を含む複数のデータソースの情報を元に、当社独自のロジックにより精度の高い日付(ETD、ETA)や洋上にある本船位置などを自動で算出する仕組みになっています。各データソースからのデータの取得は、1日2回。システムによる自動取得と、マニュアルでの手入力の組み合わせとなっているため、高い精度の自動トラッキングを実現しています。これにより、B/L番号などを元に各船会社のサイトへ見に行き、手打ちで検索する工数が削減できます。
また、本船の遅延情報もタイムリーに把握ができます。遅延が発生すると、ダッシュボードにアラートとして遅延情報が表示され、同時に登録しているメールアドレス宛にも遅延情報が送付されるので、見落としがありません。さらに遅延実績の取得もでき、最新のETD/ETAと、当初取得のオリジナルETD/ETAを比較し、遅延日数の算出も可能です。
Shippioはこれらの業務を一つのプラットフォーム上で完結し、「サプライチェーンの可視化と一元管理」を可能にします。「人が情報のハブ」から「クラウドサービスが情報のハブ」に切り替えることで、貿易担当者の負荷を軽減し工数削減が望めます。
Shippioのクラウドサービスを利用し、「サプライチェーンの可視化と一元管理」を実現して課題解決をした事例をご紹介します。
まず、大きな課題として以下3点がありました。
Shippioのクラウドサービスを利用したことで、貿易担当者の本船動静確認工数と、書類・請求書管理の工数が削減されました。関係書類はシップメントごとに紐づけて管理するので、膨大な情報の中から探す手間も無くなります。また、営業担当者にもアカウントを発行することで、本船動静や納期、関係書類を貿易担当者を介さずクラウドサービス上で確認することが可能となりました。
自社倉庫担当者にもアカウントを発行し、クラウドサービスへアクセスできるようにしました。これにより倉庫担当者は、本船動静の確認や出荷日調整がスムーズに行えるようになることに加え、空コンテナやバンニング、貨物写真もシップメントに紐づけて格納できるようになりました。コンテナダメージが発生した際、電話やメールでの伝言ゲームが発生せず、スムーズに確認作業を行うことが可能となりました。
また、貿易実務担当者・営業担当者・自社倉庫担当者の3者間でのやりとりを「Shippio」上のチャット機能で完結することにより、貿易実務担当者をハブとしたメールの伝言ゲームから脱却することができました。同じチャット画面上で、3者同時にコミュニケーションが取れるので、出荷日時の調整をストレスなく、かつスムーズに行うことが可能になります。
最後に、海外現地法人にもアカウントを発行することにより、本船動静の共有や船積書類受け渡し工数も削減できました。いつモノが届くのか、いまどこにあるのかをタイムリーにクラウド上で確認できるので、生産スケジュールが組み立てやすくなります。また、トラブルが発生した際の経緯や実績はデータとして蓄積され、保存することができます。スケジュール・ファイル・チャット履歴など、蓄積されたノウハウをメンバーへ横展開すれば、組織の対応力も向上します。
このようにクラウドサービスを導入することで、今まで発生していた問合わせの時間や非効率なコミュニケーションからの脱却が可能です。
こちらは、大きく以下3点の課題がありました。
※1 ワンウエイ(送りっぱなし・1回きり使用)に対して回収して何回も使う再利用可能な輸送資材(容器)のこと。再利用可能な木箱、パレット、トレイ、ロールボックス、カートなどすべての形態の輸送資材を指す。
大きな課題として、製品を輸出する際に使用しているリターナブル物流容器の輸入進捗状況がブラックボックス化していることがありました。
製品の輸出状況は、アナログながらメールや電話、Excelなどで動きを追えているのですが、リターナブル物流容器の戻り状況は全く追えていない状態で、生産出荷計画が立てられず、正しい経営判断ができない状況でした。
さらに、コミュニケーションツールも多岐に渡っていたため、伝言ゲームが発生し、情報収集に時間がかかることも課題でした。
リターナブル物流容器のサプライチェーンを可視化すれば課題解決できると考え、製品の輸出だけでなく、リターナブル物流容器の輸入をクラウドサービス上で管理しました。
1日2回の本船動静自動トラッキングにより、リターナブル物流容器の調達スケジュールは可視化され、ブラックボックスによる情報不足で生産出荷管理が立てられなかった課題も解決しました。
さらに貿易担当者だけでなく、生産担当者や工場・倉庫担当者、海外現地法人にもアカウントを発行し、クラウドサービスで情報共有することにより、非効率なコミュニケーションも撤廃しました。
リターナブル物流容器の可視化ができていないと、適正な生産スケジュールが組めず、ムダな生産が生まれ、適正在庫ができなくなります。また、適正在庫ができない結果、ムリな生産/出荷スケジュールや切り詰めが行われ、ムラのある運用や標準化されない管理方法が常態化してしまいます。サプライチェーンのタイムリーな可視化により、この「ムリ / ムダ / ムラ」の把握ができ、リターナブル物流容器の管理強化の実現と、出荷ロスの低減、コスト改善策の実行に貢献できました。
輸出荷主さまは船積期日に追われ、日々の貿易業務を課題として認識されていない場合も多々ございます。まずは業務の棚卸し、可視化をすることが重要だと考えています。
ヒアリングをしていく中で、各社それぞれの課題が浮き彫りとなります。実際、事例2でご紹介したリターナブル物流容器もその一つです。また今回ご紹介した事例以外でも、三国間輸送(※2)での活用事例も増えております。貿易業務の50%が削減された事例もございますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
※2 三国間輸送での取扱については一定の条件がございます
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