レポート目次
- 2024年問題の国際物流への影響
- 日系物流企業の海外戦略の強化
- 2024年問題に対する港湾物流への対応
- 荷主企業がとるべき行動
執筆者
鈴木邦成
物流エコノミスト、日本大学教授。博士(工学)(日本大学)。日本SCM協会専務理事。日本ロジスティクスシステム学会理事、日本物流不動産学研究所アカデミックチェア。レンタルパレット大手のユーピーアールの社外監査役も務める。専門は、物流・ロジスティクス工学。主な著書に『基礎からわかる物流改善』(日刊工業新聞社)『シン・物流革命』(幻冬舎)『物流DXネットワーク』(NTT出版)などがある。
レポートの一部をチラ見せ!
海外物流における日系物流企業の戦略強化
国際物流に力を入れる日系物流企業
いくつかの日本の物流企業が海外展開に注力し、国際物流に力を入れ始めています。 国内物流市場が縮小し、ドライバー不足が深刻化している中、日本の物流業界は国内市場の先行きが不透明になっています。この状況を受けて、多くの企業が国内の課題から直接影響を受けない海外市場への進出を模索し、新たな成長機会を海外市場で求めているのです。
海外の陸上輸送サービスの機会増加で注目されているのは、東南アジア、特にインドシナ半島のメコン川流域経済圏です。この地域では、ロジテムなどの企業が積極的にトラック輸送を行っています。例えば、バンコクからヤンゴンまでは約950キロ、バンコクからプノンペンまでは約750キロ、バンコクからサワナケットまでは約700キロの距離があります。これらの距離は、日本で言えば東京から広島や山口程度の中長距離に相当します。日本の物流企業は中長距離の陸上輸送に関して、非常に緻密なノウハウを持っているため、これらの知識と経験を海外、特に東南アジアの市場で活用しようとしているのです。
港湾物流における戦略強化
脆弱な輸出サプライチェーン
日本の物流企業が国内市場から海外市場へ目を向ける動きと並行して、製造業工場の国内回帰の流れを受けた輸出物流の需要が高まっています。1985年のプラザ合意や、1999年の中国WTO加盟以降の円高の流れの中で、長らく日本は生産工場の海外移転と国内のデフレが続いており、国内産業が空洞化していました。しかし、コロナ禍やウクライナ侵攻による供給難や、米中経済摩擦や台湾有事リスクを鑑みて、国内への工場回帰が進んだのです。
この国内工場の回帰に伴い、輸出インフラの重要性が高まっています。しかし永年の産業空洞化により日本の輸出は縮小を続けており、世界の輸出港レベルが上昇する中で、日本の輸出港は大きなイノベーションを遂げられていないという課題があります。さらに2024年問題によるドライバー不足が重なり、港湾のデジタル化の遅れが、スムーズな輸出物流の妨げになり得ます。
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