物流の環境規制の基本 ~荷主に必要なアクションまとめ~

この資料でわかること
  • ・物流における環境規制強化の背景と動向

    ・環境規制と商社/製造業におけるサプライチェーンとの関連

    ・スコープ3の排出量と荷主側で必要な対応策 

    ・中国の環境規制とコンテナ輸送への影響

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レポート目次

 

A.    はじめに    
 A.1. 筆者について    
B.    海運業の環境対応とサプライチェーン    
 B.1. 海運業の環境対応    
 B.2. スコープ3の排出量と荷主の対策    
C.   中国の環境規制とコンテナ輸送    
 C.1. インバランスと廃棄物輸送    
 C.2.中国の環境規制の影響    
D.    まとめ    

資料の一部をチラ見せ!

B.2. スコープ3の排出量と荷主の対策


各企業の温室効果ガスの排出量は、GHGプロトコル・イニシアチブによって2011年10月に公表され、世界的に推奨されている温室効果ガス排出量の算定報告基準「GHGプロトコル」で3つに分類されています。自社が工場の操業などを通じて直接排出するスコープ1排出量、ほかの会社から電機や蒸気を購入したことで間接的に排出するスコープ2排出量、事業活動に関係するあらゆるサプライヤーからの温室効果ガスの排出量であるスコープ3排出量です。事業活動の上流での原材料調達や製品の輸配送に伴う排出、下流における製品使用や廃棄による排出などはスコープ3に含まれています。

 日本でも、企業がスコープ3を見据えた環境問題への積極的な対応が迫られるようになっています。2012年3月に環境省が「GHGプロトコル」のスコープ3基準をもとに「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を公表しています。2022年11月には金融庁が「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案を公表し、気候変動情報の開示拡充の一環として有価証券報告書における開示の法定化の方針が示されました。なかでは、気候変動対応が重要である場合には有価証券報告書で言及すること、スコープ1と2のGHG排出量については積極的な開示が期待されることが示されています。一方で金融庁の改正案に対して、気候変動に関する国際的NGOであるCDPはスコープ3の排出量についてもいち早く開示を推奨すべきとコメントしています 。

 スコープ3のGHG排出量を公開している企業の情報を確認すると、スコープ3のうち、「購入した製品・サービス」や「販売した製品の使用」が多いことがわかりますが、上流または下流における輸送・配送も決して少なくない割合を占めていることがあります。たとえば、ライオングループでは、2021年のスコープ1から3まで、すなわち同グループのサプライチェーン温室効果ガス排出量は493万トンにのぼります。そのうちスコープ3に含まれる輸送・配送によって生じる排出量のシェアは4%で、スコープ1の1.7%、スコープ2の1.5%の合計を上回っています。サントリーグループでもすべてのサプライチェーン温室効果ガス排出量は775万トンで、スコープ3排出量の輸送・配送による排出量は6.6%を占め、スコープ1の4.5%は上回っていました(スコープ2は7.7%)。業種による違いはあり、製造業でもスコープ1や2の比率が高い企業はもちろんみられます。しかしそういった企業でも輸送や配送から発生する温室効果ガスの量が小さいわけではないため、削減ニーズは大きいと言って差し支えないでしょう。

 報道によると、現時点ではスコープ3での排出量を測定している企業は16%にとどまるとのことです 。しかしさらに多くの企業でスコープ3の排出量算出が求められるようになると、取引先となる中小荷主も対応せざるを得なくなります。今後は、フォワーダーによる見積もりサービスなどを用いて、輸送によって発生する二酸化炭素の推計値を知ったうえで輸送手段やルートを選ぶことが必要になるのではないかと考えています。

 海上輸送などによるGHGの排出量は企業にとって、スコープ3の範疇に含まれます。国際海上輸送では環境対応が進んでいるとはいえ、スコープ3排出量を減らしていくためにも、上記のような方法も活用して排出量の把握を促進して海運会社や輸送手段を選んでいくことが重要なアクションになってくるでしょう。

 もう一つ荷主が織り込まなければならないことは、

 

 

 

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