原産地証明書とは、輸出または輸入される貨物の「国籍」を証明するための重要な書類です。特にEPA(経済連携協定)の普及により、原産地証明書を利用して関税が免除または減税されるケースが増加しており、その重要性が年々高まっています。
しかし現代の貿易において、製品の生産が一国に限らず、複数の国にまたがることが一般的になっています。原材料を海外から調達したり、生産工程を分業化したりする状況では、貨物の「国籍」を明確にする必要があります。原産地証明書は、こうしたグローバル化した生産体制の中で、関税の特典を受けるためや輸出入の要件を満たすために不可欠な書類となっています。本記事では、原産地証明書の種類や手続き、認定基準について詳しくご紹介します。
Shippioは、国際輸送を手配する日本初のデジタルフォワーダーです。貿易に必要な書類や手続きなど、輸出入に関わることでご不安があれば、ぜひお気軽にご相談ください!
原産地証明書が必要となるケース
原産地証明書は、輸出または輸入される貨物の国籍を証明するための書類です。ただし、国際物流において必ずしも必要なものではなく、以下のようなケースで必要とされます。
- 取引先国の規則による場合
一部の国では、輸入規制や通関手続きの要件として原産地証明書の提出が求められる場合があります。
- 関税優遇措置を受ける場合
自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)に基づいて関税の免除や減税を受けるためには、原産地証明書が必要です。
- 商品の品質や安全性を示す場合
消費者が商品の品質や安全性を判断する指標として、原産地証明書が役立つことがあります。特に以下の分野で重要視されます。
-
- 食品:生産地や原材料の安全性を保証
- 化粧品:製品の信頼性を証明
原産地証明書の種類
原産地証明書は、用途や対象に応じて2種類にわかれ、それぞれ異なる目的や発給機関が定められています。
一般原産地証明書
輸入国の法律、契約条件、またはL/C(信用状)の要求に基づいて発行される証明書です。主な目的は以下の通りです。
- 輸入関税率の確定
- 商品の原産地表示
- 通商手段の適用
- 内国民待遇の判定
全国各地の商工会議所(日本商工会議所は除く)で発給されます。最寄りの商工会議所は、公式ウェブサイトで確認できます。
特定原産地証明書(第一種特定原産地証明書)
EPA(経済連携協定)を適用するために必要な証明書です。この証明書を使用することで、協定国産品に通常より低いEPA関税(または無関税)が適用されます。
- 輸入品がEPA協定国で生産されたものであることを証明します。
- EPA未締結国には発給されません。
発給手続きの流れ
原産地証明書の発給手続きは、一般原産地証明書と特定原産地証明書でそれぞれ異なります。以下に具体的な手順をまとめました。
一般原産地証明書
- 貿易登録(誓約)
- 初回申請時に、商工会議所で「真実かつ正確な書類を提出する」旨を誓約し登録を行います。この登録は最初の1回のみ必要ですが、別の商工会議所で申請する場合は、再度登録が必要です。
- 違反があれば、証明発給停止や登録抹消の罰則が科されます。
- 必要書類の準備
- 証明依頼書:商工会議所で入手し記入。
- 原産地証明書:商工会議所のサイトからフォーマットをダウンロードし、英語で作成。商工会議所で販売している所定用紙に印刷します。
- コマーシャルインボイス:典拠資料として1部提出。
※ワシントン条約に該当する動植物を輸出する場合や、船積後6ヶ月を経過した後の申請の場合などには、別途典拠資料が必要になります。
- 申請
- 各商工会議所の窓口で申請を行います。郵送やFAXでの受付は行われていません。
- 営業時間や詳細は各商工会議所の公式サイトで確認。
- 証明書の受領と費用支払い
- 不備がなければ、午前中の申請は当日午後、午後の申請は翌営業日午前中に発給されます。
- 手数料:非会員3,240円、会員1,080円(1件あたり)。
特定原産地証明書
- HSコードの確認
- 商品の分類コードであるHSコードを確認します。JETROが提供する「World Tariff」データベースを活用すると便利です。
- HSコードについては、「何をどうすれば?HSコードの調べ方の解説」をご参照ください。
- EPA税率の確認
- HSコードをもとに、対象商品がEPA税率の適用を受けられるかを調査。WTO税率との比較を行い、EPA利用が有利か確認します。
- HSコードをもとに、対象商品がEPA税率の適用を受けられるかを調査。WTO税率との比較を行い、EPA利用が有利か確認します。
- 原産地規則の確認
- 各EPAで規定された「原産地判定基準」を確認します。具体的な基準は日本商工会議所のサイトから参照可能です。
- 各EPAで規定された「原産地判定基準」を確認します。具体的な基準は日本商工会議所のサイトから参照可能です。
- 企業登録
- 初回のみ、日本商工会議所に企業情報を登録します(無料、有効期間2年)。
- 初回のみ、日本商工会議所に企業情報を登録します(無料、有効期間2年)。
- 原産品判定依頼
- 企業登録後、「特定原産地証明書発給システム」を通じて判定依頼を提出します。通常3営業日以内に結果が通知されます。
- 一度判定された商品は再申請不要です。ただし、原料や価格変更がある場合は再判定が必要です。
- 証明書発給申請
- 判定結果をもとに、オンラインシステムで発給申請を行います。(原則2営業日以内で発給)
- 費用:基本料2,000円+加算額(品目数×500円、20回以上の申請品目は50円)。
原産地証明書の認定基準
原産地証明書が発給される際、製品が「日本産」と認められるかどうかは、決められた基準に基づいて判断されます。ここでは、一般原産地証明書と特定原産地証明書それぞれの基準を詳しく説明します。
一般原産地証明書
- 完全生産品
- 定義:日本国内で完全に生産された製品。
- 具体例:日本で採掘された鉱物や栽培された農産物など。
- 実質的変更基準
- 定義
外国からの原材料を使用した場合でも、日本国内で加工や製造を行い、関税番号(HSコード)が変わった場合に「日本産」と認定されます。
- 具体例
- 認定されるケース:
輸入したオレンジ(HSコード:0805)と砂糖(1701)を使用して、日本でマーマレード(2007)を製造 → 加工により関税番号が変更されるため日本産と認定。
- 認定されないケース:
輸入したCPU(8542)と液晶画面(8471)を国内で組み立ててパソコン(8471)を製造 → 関税番号が変わらないため日本産と認められない。
- 認定されるケース:
- 定義
特定原産地証明書
特定原産地証明書はEPA(経済連携協定)のルールに基づいて判定されます。主に以下の基準が用いられます。
- 関税分類変更基準
- 定義:加工や製造の結果、HSコードが変更されれば原産と認められます。
- 特徴
- 一般原産地証明書と同様の基準を使用。
- 判定の厳しさはEPAによって異なり、上2桁、4桁、6桁など変更要件が異なる場合があります。
- 付加価値基準(VA基準)
- 定義
製品の全体的な付加価値に占める国内での生産割合が一定以上であれば、その国の原産品と認定されます。
- 具体例
- 輸入したオレンジ(60円)と砂糖(10円)を使用し、日本でマーマレード1瓶(100円)を製造。
- このとき、国内での付加価値は30円(全体の30%)。
- EPAで付加価値基準が40%以上と定められている場合、このマーマレードは日本産と認められない。
- 定義
まとめ:原産地証明書の必要性、種類、手続き、認定基準
ここまで、原産地証明が必要となるケースや種類、取得手続き、認定基準について解説しました。原産地証明の取得には手間がかかる場合もありますが、メリットも期待できます。
- 関税の削減・免除
EPAを活用することで、輸出入コストを大幅に削減できます。
- 輸出入条件の遵守
一部の国や品目では、原産地証明がなければ輸入が許可されない場合があります。
Shippioは、国際輸送を手配する日本初のデジタルフォワーダーです。「この製品をこの国に輸出する場合、どの書類が必要?」など具体的な疑問や不安がありましたら、ぜひお気軽にShippioにご相談ください。
Reference
経済産業省 原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例 示
東京商工会議所 原産地証明
日本商工会議所 EPAに基づく特定原産地証明書発給事業
日本商工会議所 第一種特産原産地証明書発給申請マニュアル-事前準備編-