何をどうすれば?HSコードの調べ方を徹底解説!

2019.02.26

6桁?9桁?調べ方と使い方を解説

HSコード(Harmonized System Code)は、関税計算や貿易に欠かせない分類コードです。しかし、「輸送そのものに直接関係しない」と考え、重要性を実感されていない方も多いのではないでしょうか?

2019年にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEPA(経済連携協定)などの自由貿易協定が相次いで発効し、原産地証明書を用意する必要性が増加しました。この原産地証明書を作成する上で、HSコードの正確な把握が必須です。HSコードを理解することで、自由貿易協定を活用し、特恵関税の恩恵を受けることが可能になります。

Shippioは、国際輸送を手配する日本初のデジタルフォワーダーとして、貿易業務全体の効率化をサポートしています。HSコードの確認や輸送についてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。資料請求も承っています! 

 

 

HSコードとは?

HSコードは、国際的に統一された商品分類体系で、6桁のコードを基準としています。この6桁のコードは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)」に基づいて世界税関機構(WCO)が定めたもので、現在約200の国と地域で使用されています。日本では、この6桁にさらに細分化した9桁や10桁が使われ、貿易や関税に関する統計や手続きに活用されています。

HSコードの構造

  • 6桁まで:国際共通の分類
    • 上2桁(類/Chapter):大まかな商品カテゴリー
    • 上4桁(項/Heading):さらに細分化した商品分類
    • 上6桁(号/Sub-heading):具体的な品目分類
  • 7桁目以降:国別に追加分類
    • 日本では、統計番号として3桁を加えた9桁が標準
    • 一部では電子情報システム(NACCS)用に10桁目を追加する場合も

このように、HSコードを調べることで、品目に応じた関税率や原産地規則を把握することが可能です。

HSコードの特徴

  • 国際的な統一性

    HSコードは6桁まで世界共通のため、各国で同一番号を使えば、現地語を読めなくても輸入税率や品目分類を簡単に確認できます。

  • 自由貿易協定との関係

    経済連携協定(EPA)の適用税率や原産地規則も、交渉時のHSコードに基づいて規定されます。正しいHSコードを理解していれば、特恵関税の適用を受けやすくなります。

  • 時代に応じた更新

    HSコードは約5年ごとに国際的な見直しが行われ、最新の改訂版は2022年1月に施行されました。品目コードを最新のものに更新することで、関税率や規則の適用を正確に行うことができます。

  • 統計データの基盤

    各国の貿易統計もHSコードを基に作成されており、国際貿易におけるデータの一貫性を支えています。

  • 適用時の注意点

    EPAの関税率や原産地規則は、協定締結時のHSコードに基づくことが多いため、最新版だけでなく過去のコードも確認する必要があります。

HSコードを調べる方法

  1. 公式ツールの活用

    日本の財務省関税局が提供する検索ツールを使えば、製品に該当するコードを簡単に見つけることができます。

  2. 取引先や専門家に相談

    取引先がすでに使用しているHSコードを確認したり、貿易の専門機関やフォワーダーに相談することで正確なコードを特定できます。

  3. EPA関連資料を参照

    経済連携協定の資料を活用し、対象品目に適用されるHSコードを確認することも重要です。

HSコードを活用するメリット

  • 関税負担の軽減

    正しいHSコードを使用すれば、自由貿易協定を活用して関税を削減できる可能性があります。

  • 輸送リスクの回避

    適切な分類でトラブルを未然に防ぎ、スムーズな貿易手続きを実現します。

  • 業務効率の向上

    貿易統計や輸出入手続きの効率化が可能になります。

色々な種類があるHSコード

HSコードは国際的な貿易における標準的な商品分類コードですが、一部の国や地域では独自の分類体系が使われています。これらのコードは、HSコードを基にしており、各国や地域の貿易体制に特化した仕様が特徴です。貿易を円滑に進めるためには、これらの違いを理解しておくことが不可欠です。

HTSコード(アメリカ)

アメリカで使用される関税コード「Harmonized Tariff Schedule(HTS)」。

 

  • HSコードの基本6桁を基に、4桁に簡略化し、さらに2桁や4桁の拡張コードを付加して品目を特定。
  • アメリカ独自の規定により、HSコードとは完全な互換性がない。

NCMコード(ブラジル・メルコスール諸国)

MERCOSUR(南米南部共同市場)の加盟国で使用される共通のコード「Nomenclature Comum do MERCOSUL」。

 

  • 加盟国間では無関税、対外貿易では統一された税率が適用されるため、正確なコード指定が必要です
  • 複雑な関税計算や高額な税率が特徴で、ブラジルではNCMコードの正確な使用が特に求められる。
  • ブラジルでの貿易では、輸出者がNCMコードをインボイスに記載しないと罰金や遅延のリスクがあります。

CNコード(EU)

欧州連合(EU)内で使用される「Combined Nomenclature」。

 

  • HSコードの6桁を基に、域内での関税や統計目的のために2桁追加。
  • EU域内での統一的な関税運用や統計作成を目的としています。

AHTNコード(ASEAN)

‍ASEAN(東南アジア諸国連合)で採用される「ASEAN Harmonized Tariff Nomenclature」。

 

  • HSコードを基に、ASEAN域内の関税同盟に特化した独自の分類。

HSコードの調べ方

  1. 税関の事前教示制度を活用する
    • 輸入品の分類について迷った場合、税関の「事前教示制度」が最も確実な方法です。
    • 照会書(C-1000号)や関連資料(写真、図面、見本など)を提出することで、税関から適切なコードが通知されます。
    • 原則30日以内に回答が得られ、回答内容は3年間尊重されます。

  2. 日本関税協会のWebタリフを利用する
    • 日本関税協会のウェブサイトでHSコードを検索可能です。初心者でも直感的に使えます。

  3. 専門家や業者に相談する
    • フォワーダーや通関業者に依頼することで、スムーズかつ正確にコードを調べることができます。特に複雑な品目の場合は専門家に依頼するのが安全です。

事前教示制度の手順

利用の流れ

  1. 提出書類

    照会書(C-1000号)、貨物の詳細(製法、性状、成分割合など)、参考資料(見本や写真)を輸入予定の税関へ提出します。

  2. 発行

    税関が照会内容を審査し、原則30日以内に「事前教示回答書」が回答書を発行します。回答書の内容は3年間尊重され、輸入手続きの際に活用可能です。

  3. 注意事項

    複数品目の照会は1品目ごとに個別に行う必要があります。また、輸入予定品に関する詳細な情報が求められます。

 

 

▪Eメールでの照会

  • 照会貨物の名称、用途、製造地、成分割合などの詳細情報を記載。
  • 照会は一品目ごとに行い、照会者の連絡先へ回答が送付されます。

 

Eメール照会はあくまで参考情報となり、申告時の審査では尊重されないため、文書での事前教示を推奨します。

注意点と対応策

  1. 現地規則の確認

    アメリカやブラジルなど独自コードを採用している国では、現地の通関業者や輸入者と事前に確認を行う必要があります。

  2. 不正確なコードのリスク

    誤ったコードの使用は罰金や通関の遅延を招く可能性があります。特に初めて扱う品目については慎重な確認が必要です。

  3. 電子照会の制限

    Eメールによる事前教示は参考情報として扱われるため、重要な取引では文書での事前教示を取得するのが安全です。

HSコードの重要性がますます高まる理由

HSコードは、関税の計算や自由貿易協定(FTA/EPA)の利用において重要な役割を果たしています。正確なHSコードを理解し活用することで、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEPA(経済連携協定)の特恵関税をよりスムーズに適用できます。

 

  • 特定原産地証明書に必要

    特恵関税の適用を受けるためには、特定原産地証明書が求められます。この証明書には、輸入相手国で使用される6桁のHSコードを正確に記載する必要があります。

  • 6桁までは世界共通

    HSコードの**「号」=6桁**は国際的に共通であり、日本で調査したコードと相手国のコードが一致することが必須条件です。一致しない場合、特恵関税が適用されない可能性があります。

  • 事前確認の重要性

    商品によっては分類が複雑で、取引国間で解釈が異なる場合があります。このような場合、事前に相手国の輸出入者を通じてコードが一致しているか確認することが不可欠です。確認が不足すると、特恵関税が利用できなくなるリスクがあります。

原産地規則や関税率における注意点

  • 協定締約時のコードを使用

    原産地規則や関税率は、最新版のHSコードではなく、協定締約時または交渉時に適用されていたコードに基づいて規定されています。この点に注意し、対応するバージョンのコードを確認する必要があります。

  • 正確な情報の収集

    各国の関税率や原産地規則に関する最新情報を常に確認することで、貿易業務のトラブルを回避できます。

各国の原産地規定・関税率は以下表をご覧ください(2023年3月更新)

 

HSコード

まとめ

日欧EPAやTPPなど自由貿易協定の発効により、関税撤廃の恩恵を受けるためには、今後も原産地証明の提出は欠かせません。正確なHSコードの把握は、原産地証明書の作成や特恵関税の適用において重要な役割を果たします。

Shippioでは、国際物流プラットフォームを活用し、貨物運送の際に必要なHSコードの調査や確認をスムーズに行う環境を提供しています。さらにプラットフォーム上では、情報を一元管理するため、過去のメールを遡る手間が省け、より円滑なやり取りとコミュニケーションが可能です。

輸出入や国際物流の効率化を目指す際は、ぜひShippioの国際物流プラットフォームをご活用ください。

 

 

 

 

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