海上運賃はピークアウト!?【Logistics Insight Digest】9月レポート

2024.10.01

毎月第一火曜日に開催している定期セミナー【Logistics Insight Digest】の9月講演内容をサマリーでお届けいたします。
今回のセミナーは、物流トレンドの解説と運賃指標の見通しがテーマとなりますので、物流実務担当者にとって有益な内容となっております。


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◯こんな方におすすめ
 ・上海や台湾などアジア圏からの貿易を行っている事業者様
 ・海上運賃の高騰について対策したい実務担当様
 ・今後の海運市況の見通しをたてる情報が欲しい
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1.海運市況の現状と予測

 

上海発欧米向けの輸送需要はピークアウトし、海上運賃は下落傾向にあります。上海コンテナ運賃指数(SCFI)は下降し続けており、香港のデータ提供会社Linerlyticaは、2024年6月までに70%以上の下落が見込まれるという予測を発表しています。
その理由としてLinerlyticaは、「運賃は今後12ヶ月間下落し続け、年末や2025年春節後の反発は期待できない」としています。
また、アジア初アメリカ西海岸向けでは、輸送需要の一服に加え、アジア専業船社の同航路への再参入により、競争が激化運賃が下がっています。
アジア域内航路では、近海航路の船舶が遠洋航路に投入され、海上運賃が高止まりしています。

 

2. 輸送需要と港湾の混雑状況

 

中国から北米・欧州への輸送需要は9月以降、徐々に落ち着く見通しです。米国では在庫水準を引き上げる動きが見られる一方で、消費が伸び悩んでおり、輸送需要は在庫主導で推移しています。

アジア主要港では混雑が続いており、スケジュール遵守率は50%台で推移、到着遅延平均日数も5日以上となっており、改善の見通しは立っていません。

 

 

3. サプライチェーンのリスク要因

 

紅海危機の影響でコンテナ船の85%がスエズ運河利用を回避し、喜望峰迂回ルートを選択しており事態は長期化し、スエズ運河の本格利用再開の目途は立っていません。
喜望峰迂回ルートは荒天が発生しやすく、7月にCMA CGMでコンテナをロストした事故に引き続き、8月にもMSCでもコンテナをロストする事故が発生しています。
10月1日以降北米東岸でのストライキの可能性が日に日に高まっており、2週間以上東岸港がシャットダウンされる事態になった場合、北米のみならず、その影響はアジアを含むグローバルなサプライチェーンにも深刻な打撃を与える可能性があります。

 

4. 今後の見通しと対応策

 

サプライチェーンの多元化や調達先の見直し、リードタイムや在庫水準の調整が重要です。不確実性が増す中で、柔軟な対応と事前準備がサプライチェーンのリスクを最小限に抑える鍵となります。

 

 


 

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