―ビジネスモデルと業務について教えてください
ダイフクは、1937年の創業以来、モノを動かす“マテリアルハンドリング”に携わってきました。
イントラロジスティクス、クリーンルーム、オートモーティブ、エアポートをはじめとする主要6事業で構成されており、さまざまな分野において、保管、搬送、仕分け・ピッキング、情報システムなど多様な要素を組み合わせ最適・最良のソリューションを提供しています。
私たちの所属するオートモーティブ事業部は、自動車生産ライン向けシステムにおいて1世紀近くの実績があり、プレス・溶接・塗装・組立、部品の保管・供給、エンジンテストに至るまで、その全域にわたって自動化・省人化システムをお客様へ供給しています。
地球規模で展開されるエコカーや現地志向のナショナルカーなどグローバルに広がるモータリゼーションを、自動車生産に寄与する最先端の物流技術・ソリューションで支えています。
本事業部における私たちの業務は、世界各地のお客様へフルターンキー契約で設置する設備や、納入後のスペアパーツの国際輸送を担当しています。
また、海外生産工場から本国への輸入業務も行っています。
日々移り変わる各国の情勢を国際輸送の観点から海運市況を把握し、内部への情報展開や輸送貨物の正確な配送状況を提供することで、お客様に信頼される物流管理を目指して日々の業務に取り組んでいます。
自社の物流業務を強化することは重要なテーマ
―導入の経緯と課題
株式会社ダイフクでは、長年にわたり海外物流業務を各事業部が独自に対応しており、業務の煩雑さや情報共有の課題を抱えていました。関西物流展に参加した際、Shippioに出会い、後に「Any Cargo」がリリースされた際に海外物流業務を統合し、デジタル化を進める可能性を見出しました。
導入前の大きな課題は、海外輸出に関する問い合わせが多くの関係者からあり、限られた担当者が対応に追われていたことです。多くのフォワーダーからの遅延連絡を逐次転送する業務が発生し、本来の貿易実務に集中できない状況でした。加えて世界情勢の影響で船舶の遅延が頻発し、問い合わせの件数が増加し続けていました。荷物の所在を即座に把握できないという課題が浮き彫りになり、全社的な物流情報の可視化が求められていました。
ダイフクでは、生産関係のシステムは整備されていたものの、貿易や国際物流の分野はシステム化されておらず、数名の担当者で輸出業務を行っていました。そのため、情報の転送が多く発生し、業務負荷が高くなっていました。しかし、「Any Cargo」を導入したことで、これまで当たり前に行っていた作業が大きく変化し、今まで忙しくて意識できなかった業務の改善点に気を配れるようになりました。
また、社内における物流部門の役割の重要性について、認知向上を図りたいという意識もありました。 物流システムを提供する企業だからこそ、自社の物流業務を強化することは重要なテーマと考え取り組んでいます。自社の海外物流の業務の統一化による省人化やコンプライアンスレベルの底上げなどに活用できると考えました。
さらに、別の部署から異動してきた社員に対しては、専門知識への教育方法が確立されておらず、人材育成が難しい環境であったため、システム化による教育の標準化も必要であると考えました。
世の中の流れにスピーディーに対応するために
―導入の決め手
Shippioの「Any Cargo」は、海外物流業務全体を包括的に管理できるSaaSとして提供されていました。海外物流に特化したクラウドサービスが市場にほとんど存在しない中、Shippioの独自性に魅力を感じ、導入を決定しました。過去に他のツールを検討したこともありましたが、フォワーダーを巻き込んでの利用が難しいとの判断をしました。
また、ダイフクでは従来、自社開発のシステムを活用していましたが、開発期間に世の中の流れが変わるリスクを考慮し、クラウド型の導入が最適であると判断しました。特に、社内で初めてのクラウドサービス導入という点も大きな挑戦となりました。
―Shippioの「Any Cargo」をどのような用途で利用していますか?
「Any Cargo」導入以前は、メールを主体とした情報共有が行われており、案件ごとに最新情報を検索する手間が発生していました。メールのCC漏れや件名の統一性がないことによる誤解も多く、情報管理が煩雑になっていました。
導入後は、案件ごとのチャット機能を活用することで、やりとりが一元化され、関係者全員が最新の状況を即座に把握できるようになりました。特に、案件ごとに情報が集約されることで、引き継ぎ時の情報共有の負担が減少しました。過去の案件を参照するだけで対応が可能になり、従来のようにメールを抽出しExcelにまとめる手間が不要となりました。また、これまで個人宛だった運用が「ダイフク対フォワーダー」として標準化され、人の入れ替わりによる不安が軽減されました。
貿易における1番のリスクは認識の不一致
情報の集約により、業務工数と心理的な負担が大きく軽減
―導入後の効果は?
Shippioの導入サポートは非常に手厚く、フォワーダーへの説明支援もあり、スムーズな導入が実現しました。初めてのクラウドサービス導入で不安もありましたが、Shippioの充実したサポート体制によりスムーズに移行でき、フォワーダー側からも高評価を得ました。
また、組織変更により少人数の体制で業務を担うことになりましたが、「Any Cargo」を活用することで問題なく対応できています。案件ごとの情報が一元管理されることで、煩雑だったメールのやり取りが削減され、業務の負担が大幅に軽減されました。従来の環境では、Excelを用いて案件ごとに膨大な引き継ぎ作業を行う必要がありましたが、「Any Cargo」のチャットスレッドを参照するだけで業務の流れを即座に把握できるようになり、短期間での引き継ぎ、案件対応ができるようになりました。その結果、新任の担当者も即座に業務に対応できる環境が整い、スムーズな業務継続が可能となりました。
さらに、多くのパートナー企業との連携により、事前情報の共有が可能となり、スケジュール調整がよりスムーズに進むようになりました。突発的な変更にも迅速に対応できるようになったほか、出荷情報の一元管理により、輸送トラブルのリスクが大幅に低減しました。情報の統一によって関係者間の認識のズレが解消され、業務の精度が向上したことも大きな成果の一つです。
具体例として、梱包会社とは事前に情報を共有できるようになったことで、これまで以上に余裕を持った配送手配が可能になり、業務の効率化につながっています。現法や工事管理担当の利用も進み、問い合わせ件数が大幅に削減されました。
導入初期は敢えて少人数のメンバーに絞り、しっかり活用が浸透するようにサポートしたことで、効果が明確に認識され、社内への浸透が進みました。その結果として全体の業務負担が軽減される大きな成果へとつながっています。
―今後の活用とShippioへの期待
今後、Shippioの「Any Cargo」を利用し、データ活用をさらに深めていくことで、より精度の高い貿易業務の管理を目指します。特に、業界全体の物流トレンドを把握し、長期的な輸送計画の立案に活かしていく予定です。
また、Shippioには今後、さらなる機能強化を期待しています。例えば業界全体のデータを活用したベンチマーク指標の提供があれば、より戦略的な物流の最適化が可能になるでしょう。
私たちとしては、Shippioと共に進化し続け、物流DXの最前線で活用を進めていきたいと考えています。
貿易DX推進に当たっての想い
大畑様:私は、海外輸送においてそれぞれの専門性を持った人間が、継続してその業務にあたり、新人も育てられるような環境を整えることが会社の将来に繋がると思っています。ものづくりのメーカーの中で、顕著に物流部門へ光が当たることは少ないですが、海外輸送の業務に誇りを持って継続性のあるものにしていきたい。長年の海外輸送における経験において、属人化による知識や経験の継承に分断が起きない仕組みを作っていきたいと考えています。ダイフクには「日新」と言う社是があり、次の進化に繋がるように日々取り組んでいます。
吉岡様:私も大畑の考えを引き継いでおり、海外物流の人材が育ちづらいことに課題を感じています。海外輸送領域は専門性が高い反面、属人的な教育にならざるを得ず、人によって知識やコンプライアンスのレベルにバラつきが生じやすくなります。組織で統一した貿易システムにすることで、外部パートナーとのやり取りや業務手順が可視化され、それぞれのメンバーの目線でアドバイスや指摘を行うことができます。新しいことに挑戦しながら、みんなのためになって、会社のためになることに面白さを感じています。
(左)株式会社ダイフク オートモーティブ事業部 生産本部 生産部 製造組立グループ 3課 大畑 裕士様
(右)株式会社ダイフク オートモーティブ事業部 生産本部 生産企画グループ(海外物流) 吉岡 昌子様
Shippioでは国際物流の可視化を実現し、情報共有機能や、貿易書類・請求書管理、納期調整を一元管理できるクラウドサービスを提供し、貿易業務の可視化・効率化をサポートしております。
貿易業務で人手が不足している、現状のやり方ではDXが進まないなどのお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。