導入事例

フォワーディング業務のDX最前線。現場が語る「Shippio Works」の成果と展望

福山通運グローバル 株式会社様

 

 

  • 目的

    ・高精度の本船動静情報を簡単に取得する
    ・業務効率化・標準化を超え、物流プロセス全体を変革する

  • 課題

    ・繁忙期には1人あたり1時間以上の本船動静確認作業が必要で負担が大きい
    ・情報が担当者間で分散し、全体の進捗や内容が見えにくい
    ・業務が属人化しており、担当者不在時の対応が滞る

  • 効果

    ・自動トラッキング機能により、1人あたり1日30分〜1時間、月に10~20時間の作業時間を削減
    ・チャット機能を活用して、情報の正確性が向上し、伝達速度が改善
    ・情報伝達ロスを削減し、1案件あたり15~30分の時間短縮を実現

  • 業務効率化
  • 業務標準化

 

情報の信頼性と効率性を求めて

―導入時の最も大きな課題について教えてください

コロナ禍をきっかけに、国際物流は大きく混乱しました。その後も、パナマ運河の渇水や紅海情勢悪化などの影響で、コンテナ需給のひっ迫、運賃高騰、本船スケジュールの遅延、抜港といった問題が続いています。このような状況の中で、荷主企業様も本船スケジュールの把握に非常に神経を使われており、当社に対しても「最新の情報を正確かつ迅速に提供してほしい」という要望が寄せられていました。

その要望を満たすため、担当者は朝出勤するとすぐに本船動静の確認作業を始めていました。船会社のウェブサイトやマリントラフィックなど複数の情報源を使い、一つひとつ確認して社内システムに入力するほか、必要に応じて海外の現地法人に連絡を取るなど、非常に手間のかかる作業でした。特に繁忙期には、一人当たり1時間以上をこの作業に費やすこともあり、毎日続くことで月単位では非常に大きな負担となっていました。

この作業は、B/L(船荷証券)番号ごとに情報を確認し、毎日多くの案件を対象としていました。業務経験の差から調べるサイトや着眼点が異なり、入港日にズレが生じたり、同じ本船の情報を別々の担当者が調査する非効率な状況も発生していました。

また、情報の信頼性にも課題がありました。特にアジア域内のトランシップの状況や、各寄港地での遅延情報では、船会社の公式サイトの内容と実際の状況が異なることが多々ありました。その場合、現地代理店への確認やターミナルへの直接問い合わせが必要となり、さらに時間がかかる結果となっていました。このような状況が、業務全体の効率を大きく低下させていたのです。

―書類管理の面ではいかがでしたか?

フォワーディング業務は、L/C(信用状)、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書、船積書類など、膨大な書類を扱います。当社ではこれらを主にメールやFAX、紙ベースでやり取りしていたため、情報が担当者間で分散し、全体の進捗や内容が見えにくいという課題がありました。また、担当者が不在になると案件の詳細が把握できず、属人化も深刻化していました。案件が増えるほど、情報の転記や伝言が繰り返され、スムーズな情報共有が難しくなっていました。

特に、メールの容量制限は大きな問題でした。当社では8メガバイトという制限があり、大容量ファイル、例えば各種関連書類や画像ファイルなどを分割して送信する必要がありました。この手間が効率をさらに悪化させる一因となっていました。

さらに、メールでのやり取りは過去の問い合わせや情報を探す作業にも時間がかかり、必要な情報が埋もれてしまうこともありました。容量制限を考慮しながら添付ファイルを管理する必要があるため、案件が増えるごとに管理が煩雑になり、業務の負担が増大していました。

課題解決に向けた新たな物流DX

―「Shippio Works」導入検討のきっかけについて教えてください

以前からAny Cargoの評判を耳にしており、Shippioのサービスに関心を持っていました。「Shippio Works」リリース前にシステム概要の説明を受け、求めていた機能がほぼ網羅されていることを確認し、業務改善や生産性向上の可能性を感じました。しかし、本船動静の確認やその精度については未知数で、不安も残っていました。

説明後すぐに申し込み、東京支店内の業務、通関、営業など各部署でトライアル運用を開始しました。運用の中で本船動静の精度を確認したところ、担当者全員が高評価を下し、当初の懸念は払拭されました。特に、トランシップの状況や寄港地での滞船情報といった、これまでの方法では得られなかった情報が簡単に把握できる点が非常に魅力的でした。この結果を受けて、「Shippio Works」への案件登録も加速し、本格運用への準備が一気に進みました。

―導入にあたり、社内でどのような対応をされましたか?

業務、通関、営業の各セクション責任者とミーティングを行い、既存の業務プロセスを検討しました。その結果、属人化や本船動静確認の負担、一部を除きメール・電話・紙を主体とした従来型のやり取りが続く現状が課題として挙がり、具体的な解決策が進んでいないことが明らかになりました。

次に、各セクションの責任者に「Shippio Works」の概要と導入目的を説明し、全員が共通の目標に向けて取り組めるよう意識を共有しました。東京支店には、新卒から勤続30年以上のベテラン社員まで幅広い世代が在籍しており、世代や役職を超えて足並みを揃えることが重要です。そのため、リーダー層の意識を高め、彼らが旗振り役となって導入を推進できるようにすることを重視しました。

 

_G2_0591東京支店 常務取締役 瀬尾 仁様

「Shippio Works」がもたらしたポジティブな変化

―導入後の効果はいかがですか?

「Shippio Works」の導入により、一度データを入力すれば出港から入港まで、さらにその間のトランシップの動きまでもトラッキングが自動化され、日々の本船動静確認が不要になりました。その結果、1人あたり1日30分〜1時間、月に約10〜20時間の作業時間が削減され、業務効率が大幅に向上しました。

また、経験の有無に関わらず、誰もが同じ精度で迅速に本船動静の情報を提供できるようになった点も重要な進展です。一度データを登録すれば、「Shippio Works」を確認するだけで状況を把握できるという安心感が生まれ、業務の標準化が進んでいます

さらに、導入を進める上で重視したのはデータ入力の効率化でした。当社では東京支店だけでも年間に膨大な数の案件を扱っております。国外の連携先から送られるデータをテンプレートを使って一括アップロードできる仕組みを導入したことで、日々の業務効率が大幅に向上しました。この機能により、毎日膨大な量の案件を迅速に処理できるようになり、現場での負担軽減と生産性向上を実現しています。

こうして削減できた時間を他の業務に充てることで、サービス全体の品質向上にも繋がっています。「Shippio Works」の導入は、単なる効率化にとどまらず、働き方そのものにプラスの影響を与えています。

―その他に、予想外の効果はありましたか?

一番の驚きは、社内コミュニケーションが大幅に改善されたことです。フォワーディング業務では複数の部門が連携して本船情報に基づき通関のタイミングやトラックの配車を調整するなど、迅速な情報共有が不可欠です。しかし、以前は口頭での申し送りが中心で、記録が残らないため、「言った・言わない」のトラブルが発生することもありました。

チャット機能の導入により、気軽にメッセージをやり取りできるだけでなく、全ての内容が自動的に記録されるようになり、情報の正確性と伝達スピードが大幅に向上しました。
特に業務の移行作業や休暇時には、案件のステータスやその経緯が簡単に確認でき、対応がスムーズになりました。また、担当者が離席中や他の業務に集中している場合でも、確実に伝言や記録を残せるようになり、業務の効率がさらに向上しました。

さらに、ファイルアップロード機能を活用することで、案件ごとに必要な書類を効率よく共有できるようになり、情報伝達に伴う無駄な時間が削減されました。これにより、メールでファイルを探したり、容量制限を気にする必要がなくなり、1案件あたり15〜30分の時間短縮が実現しました。また、営業担当者は外出先からでも「Shippio Works」を利用して、お客様の問い合わせに即時対応できるようになり、対応スピードが大幅に向上しました。

導入後、もう一つ予想外だったのは、若手社員からの積極的な改善提案です。特に入社1年目の社員たちは、システムを使いながら「ここをこう改善したらもっと便利になる」という提案を積極的に行ってくれます。ベテラン社員は長年の経験から「現状で十分」と考える傾向がありますが、若手の提案はデジタルネイティブらしい視点が多く、新しい発見をもたらしてくれます。

物流DXで広がる新たな可能性

―今後の活用方法と、Shippioに期待していることを教えてください

現在、「Shippio Works」は東京支店内の社内組織間での利用が中心ですが、今後は全拠点への導入を進め、機能を最大限活用していきたいと考えています。さらに、Works Connectを活用し、取引先や親会社である福山通運の全国通関拠点を巻き込むことで、国際物流業務全体の効率化を図りたいと思っています。

そのためには、全国展開の前に東京支店での運用ノウハウをしっかりと蓄積することが重要だと考えています。特に、通関業務や配送手配といった地域特有の業務フローへの対応を十分に検討し、円滑な展開を実現するための準備を進めています。

また、当社では海上貨物だけでなく航空貨物も取り扱っております。航空貨物はリードタイムが短く、遅延も数時間単位で発生するため、フライトナンバーやETD(出発予定日時)、実際の離着陸時刻などの特有のデータを効率よく管理する仕組みが求められます。この分野での自動トラッキング機能の追加に期待しています。

フォワーディング業務のデジタル化は、単なる業務効率化にとどまらず、物流プロセス全体を変革する可能性を秘めています。リアルタイムで正確な情報に基づく意思決定、可視化されたコミュニケーション、蓄積データの高度な活用により、新たなビジネスチャンスを創出できると考えています。

物流業界では、フォワーディングや通関業務におけるDXがようやく本格的に進み始めた段階です。当社もこの波に乗り、「Shippio Works」を国際物流DXの重要な手段として活用し、業界の変革を牽引していきたいと考えています。

 

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(右)東京支店 常務取締役 瀬尾 仁様

(左)株式会社Shippio 事業開発室 室長 金城 健

 

 


 

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