―ビジネスモデルと主な業務について教えてください
ヤマタネは、物流、食品、情報、不動産という4つの事業を柱に、社会のインフラを支える多彩なサービスを展開する企業です。
我々は物流カンパニーに所属する港運通関部です。お客様からお預かりした大切な貨物を、世界各国との間で円滑に輸出入する手続きを担っています。日々の業務の中でも、コンテナのデバンニング(荷下ろし)日程を調整する倉庫チームとの連携は、サプライチェーン全体を円滑に動かすための重要な生命線です。
物流カンパニー 港運通関部 横浜通関事務所 課長代理 藤井一啓様
鳴りやまない電話。本船動静の“見えない”が、現場の混乱とコストを招く
―導入の経緯と課題
Shippio Works導入以前、私たちは深刻なコミュニケーションの課題を抱えていました。本船の動静が頻繁に変更され、その都度デバンの予定も変わるため、倉庫の現場からは「この船はいつ入りますか?」という確認の電話やメールが絶えなかったのです。
以前はスプレッドシートで入港予定を共有していましたが、担当者が手動で情報を更新する必要があるため、情報反映にタイムラグが生じ、リアルタイムな情報共有には限界がありました。結局、倉庫側は私たち通関担当者に直接確認するしかなく、私たちもその都度、船会社のサイトを確認して回答するという非効率なやり取りが常態化していました。
この情報連携の遅れは、手配済みのドレージ(陸上輸送)をキャンセルせざるを得ない状況を生み、年間で見過ごせない額のキャンセル料が発生する原因にもなっていました。
倉庫も「同じ画面」を見られる。情報共有の新しい形への可能性
―導入の決め手
社内でShippio Worksの導入が決まった際、私が感じたのは、本船トラッキング機能と書類授受の仕組みを組み合わせた、新しいコミュニケーションツールとしての可能性でした。
最大の決め手は、通関担当者だけでなく、倉庫の現場担当者も同じIDでシステムにアクセスし、自ら本船動静を確認できる点です。これまで口頭やメールで行っていた情報の伝言ゲームをなくし、関係者全員が「同じ最新情報」をリアルタイムで見られる。この仕組みこそが、私たちの長年の課題を解決する鍵だと直感しました。早速、倉庫チーム用のIDを作成し、部門を横断した情報共有の仕組み作りから着手しました。
倉庫からの電話が“ほぼゼロ”に。年間5%のコスト削減と1日1時間の工数削減を実現
―導入後の効果は?
Shippio Worksの導入後、現場の景色は一変しました。
最も劇的だったのは、あれほど頻繁だった倉庫からの本船動静に関する電話が「ほぼなくなった」ことです。今では倉庫担当者が自らShippio Worksで最新情報を確認し、「この船は遅れているので、デバン日をずらしました」と報告してくれるようにまでなりました。この変化により、コミュニケーションの精度が格段に向上しています。
この連携強化は、具体的なコスト削減にも繋がりました。本船の遅延を早期に把握できるようになったことで、ドレージのキャンセル料は年間で約5%削減されています。私個人の業務時間を見ても、倉庫とのやり取りや、遅延発生時のドレー会社を探す手間がなくなったことで、1日あたり約1時間の工数削減を実感しています。
また、情報が一元化されたことで、自分が直接担当していない案件の状況も把握できるようになり、業務の属人化解消にも繋がっています。
Shippio Worksを活用し、先々のスケジュールを先行して立てられるようになりました。突発的な問題に対応できる「時間の余裕」と「精神的な余裕」が生まれたことが、何より大きな成果かもしれません。
AI-OCRの活用と、ドメインの課題解決へ。進化し続けるパートナーへの期待
―今後の活用について
今後は、現在活用している機能に加え、Shippioが持つAI-OCR技術の活用も検討していきたいと考えています。以前、他社のOCRツールを試したことがありますが、あまり精度がよくありませんでした。ただ、ShippioのOCRは精度が素晴らしく、この技術を通関申告の元データ作成などに活かせないかと、大きな可能性を感じています。
Shippioは、現場の課題を解決する新しい機能を次々とリリースしており、私たちにとって単なるツール提供者ではなく、共に業界の未来を創るパートナーです。今後もShippioとの連携を深め、あらゆる課題を解決していけることを期待しています。
Shippioでは国際物流の可視化を実現し、情報共有機能や、貿易書類・請求書管理、納期調整を一元管理できるクラウドサービスを提供し、貿易業務の可視化・効率化をサポートしております。
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